事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
<相続後>評価・節税【伊藤さん(50代男性)からのご相談】
■評価・申告■道路面より低い土地で減額した伊藤さん
相続の状況
■節税額の合計 | 節税額6002万円 評価減 8692万円 |
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■節税項目 | [遺産分割]小規模宅地等特例 [評価・申告]広大地、高低差、造成費 [納税]納税猶予 |
伊藤さんの父親は農家の長男として農業を継続してきました。周辺は宅地化が進み、農地の周辺は住宅が建ち並んでいますが、先祖から引き継いだ農地を守るというのが父親の信条でした。貸家やアパート経営もしていますが、土地が売れたお金で建てており、頑固な父親はそれ以上はいくら勧められても節税対策をしようとはしませんでした。
お陰で負債はありませんが、莫大な相続税がかかるのではないかと不安をかかえています。
母親も祖父と養子縁組をし、祖父が亡くなったときに土地を相続していますので、配偶者の特例を使えば母親が無税になることは知っていますが、次が大変になるのでは不安です。自分だけでは判断がつかないため、どうしていいかわからず、相続の専門家の知恵を借りたいと考えました。 伊藤さんは長男として農業を継続して土地を守る覚悟ですが、姉には現金を分けたいため、できるだけ節税したいという希望もありました。
財産とご家族の状況
- [相談者]:伊藤さん(50代男性)・職業 会社員
- [被相続人] :父親 農業80代
- [相続人] :3人(母親80代、長男(本人)50代、長女50代
- [財産の内容] :自宅、貸家、アパート、市街化農地(生産緑地)、現金等
- [遺言] :なし
[相続税の節税額]
相続財産 | 4億1,244万円 |
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債務、葬式費用 | △ 514万円 |
◆小規模宅地減額 | △824万円(200㎡ 50%適用) |
◆広大地による評価減 | △5,837万円 |
◆高低差による評価減 | △2,031万円 |
課税価格 | 3億2,038万円 |
基礎控除(相続人3人) | 8,000万円 |
相続税総額 | 5,312万円 |
◆農地の納税猶予 | △2,958万円 |
納付した相続税 | 2,354万円② |
当初の相続税額 | 8,356万円① |
◆節税額 | 6,002万円①-② |
・評価減できた項目と節税額 | ・・・添付グラフ |
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1.小規模宅地等の特例の評価減 →賃貸事業用地にて適用 |
・・・ 評価減824万円 |
2.広大地による評価減 | ・・・ 評価減5,837万円 |
3.高低差による評価減 | ・・・ 評価減2,031万円 |
4.農地の納税猶予 | ・・・ 通常の相続税額 5,312万円→2,354万円 |
課題
・母親にも財産があり、財産を殖やすと二次相続が大変になる
・相続財産のほとんどが不動産で、多額の納税が必要
・母親の節税対策も必要になる
相続コーディネーターから
父親の財産だけでなく、母親の財産も合わせて現地確認をすると、ほぼ同じくらいであることがわかりました。母親が父親の財産を相続しても特例により半分までは相続税はかかりませんが、シュミレーションをした結果、母親の相続時の税額の方が増えてしまいます。そこで、今回、母親は財産を相続せず、二人の子供で相続することにしました。農業を継承する長男が全部の不動産を相続し、嫁いだ長女は現金の半分を相続するようにします。次に節税方法として、税理士、不動産鑑定士の協力で農地3カ所は広大地を適用しました。また、道路より2mほど低くなっている農地については、高低差による評価減を行うようにしました。広大地の農地は生産緑地として営農するので、納税猶予を受けて、納税の負担を減らしました。納税した土地については今後、活用を進める予定です。