事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
<生前>遺言書【飯塚さん 80代からのご相談】
【分割】【寄与】【争い回避】面倒を看てくれた子供に財産を多く渡したい飯塚さん
家族と相続の状況〈独身の次女と同居〉
飯塚さんは70代半ば。妻は20年前に亡くなりました。3人の子供がいますが、長女は結婚して家を離れ、長男も自立、末の二女と暮らしています。妻が早く亡くなったこともあり、長女と二女は仕事をしながら、家事を分担してくれました。長女は結婚後も定期的に実家に顔を出して、二女のサポートをしてくれていました。
飯塚さんは飲食店を経営し、店舗併用の4階建てのビルが自宅です。65歳までお店に出て仕事をしていましたが、長男に継がせるつもりが続かず、出てしまったため、やむなく閉店し、その後は賃貸しています。
家賃収入と年金があるので、生活の不安はありません。しかし、昨年暮れに体調を崩し、病院で検査をしたところ、重大な病気と診断され、余命宣告をされたのです。
- [遺言作成者]:父 飯塚さん 70代 無職
- [推定相続人] :長女30代主婦、長男30代会社員、
二女30代会社員(同居)
遺言を作る理由〈面倒を看てくれた長女と二女に財産を渡したい〉
病気がわかってから、長女と二女は献身的に看病をしてくれ、飯塚さんはあらためて長女と二女に感謝するとともに、財産の分割も多くしたいと思いました。長男は店を投げ出し、ろくに見舞いにも来ないこと、今までに相当分を渡していることなどから、遠慮したもらいたいと考えました。会社も二女に継承させました。
遺言がないと困ること
・今まで金銭的援助をしてきた何もしない長男にも不動産の相続権がある
・長男の性格では法定割合を請求する
・家事や病気の看護に貢献してくれた見返りが作れない
相続コーディネーターからワンポイントアドバイス
・生前に会社を継承させておくことは節税になり、争う余地がなくなる
・不動産の相続を二女とすることで所有は優先される
・付言事項に気持ちや希望を残しておくことはもめごとの緩和剤となる。
遺言の内容〈遺言者 飯塚さん〉
遺言書
遺言者 飯塚 は下記のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、遺言者の二女・○○に相続させる。
【土地】 所在 | ○○区○○町 ○○番地○ |
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地番 | ○○町 ○○番○の○○ |
地目 | 宅地 |
地積 | ○○㎡ |
【区分所有建物】 所在 | ○○市○○町 ○○番地○ |
家屋番号 | ○○町 ○○番○の○○ |
(中略) 構造 | 鉄筋コンクリート造1階建て |
床面積 | ○階部分 ○○㎡ |
共有持分 | 遺言者の共有持分2分の1 |
第2条 遺言者は遺言者の有する預貯金の中から葬儀費用、相続税を控除
した残余を遺言者の長女・○○、同長男・○○及び二女○○に均等の割合で相続させる
遺言執行者は、不動産の名義変更等、本遺言を執行するために必要な一切の権限を有する。
第3条 遺言者は、遺言者の有する株式会社○○の株式全部のほか、以上までに記載した財産以外の全ての財産を、二女○○に相続させる。
1 次女○○は遺言者の負債を全て支払うものとする。
第4条 遺言者は祖先の祭祀を主宰すべき者として長女○○を指定する。
第5条 遺言者はこの遺言の遺言執行者として二女○○を指定する。
1 遺言執行者は預貯金の解約・払い戻し、株式の名義書き換え等
本遺言を実現させる為に必要な一切の行為をすることができる。
(付言)
長女○○へ 長女として責任と思いやりで家族に接してくれましたね。ありがとう。 入院中はよくお見舞いに来てくれましたね。足もみ、肩、腰もみ、気持ちよかったです。院内の散歩も楽しい思い出です。ありがとう。これからも弟妹のよき相談相手になってください。 長男○○へ 過去の過ちを反省して出直して下さい。飯塚家の長男として中心になってください。 姉妹と仲良くしてください。そのためには遺留分を請求しないように。 二女○○へ 土地建物、借金、すべて任せます。大変ですが、姉と相談しながらがんばって下さい。入院中は仕事をしながらよくお見舞いに来てくれましたね。手をつないでの散歩は幼い頃を思い出しました。姉兄と仲良くして下さい。
平成○○年○月○日
○○区○○○○
遺言者 飯塚