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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

【農家】<ケース1>土地13か所のうち収入は1か所!固定資産税しか払えない!

 

◆【相談内容】野菜農家の父親が倒れて、農業ができない

兼業農家のTさんご夫婦(50代)が相談に来られました。野菜を作ってJAに出荷している父親が心筋梗塞を起こして入院。3か月ほどで退院できたもののもとの体調には戻らず、今後、農業の継続が難しくなったのでした。それまでは母親とTさんの妻が農業を手伝ってきました。Tさんと弟(40代)は会社員のため、休みの日に手伝う程度しかできません。これから相続のことも考えるとどうしていくのがいいかということがご相談の内容でした。


◆相続対策で建てたアパートが空室

Тさんの父親は、JAから相続対策として進められて、所有地を活かして8棟のアパートを建てています。いずれも30年以上前に建てたもので、年数が経ち、半分の4棟は空室のままとしています。

残る4棟から家賃は入りますが、固定資産税を払うと生活費まで回せないほどの収入にしかなりません。まだ空地もあるので、もっと土地活用したほうがいいかとも悩んでいるといいます。

これから相続を迎えるとどうなるのかも心配だといいます。

 

◆相続対策にはプランが必要 「経済面」「感情面」に配慮して作る

相続になってからでも土地の評価や特例で節税できる方法は残されていますが、それは対策の一部でしかありません。やはり、相続税の節税対策の大部分は生前にしておくべきことで、取り組んだだけの効果は確実にありますので、節税対策は必須と言えます。

 また、特例が使えるから対策しなくてもなんとかなる、という場合でも安心はできません。なぜなら、特例を使うには、相続税の申告期限までに遺産分割が完了していないといけないのです。そのため、少なくとも、もめない対策は必須だと言えるのです。

 相続になっても残された人が円満に、不安なく、争わずに乗り切れるよう、感情面と経済面の両方に配慮しながら、対策をしておくことで、相続の価値が高まります。さらに、そうした意思を残し、対策をしてこられたご本人への感謝や評価が高まり、家族の絆が再確認できる機会となります。

 相続では、配慮のある生前対策をしておくことが大切です。そうした用意がないと、残された家族は迷い、主張し、争うことになります。相続は「何とかなるだろう」ではうまくいきません。生きているうちに「相続プラン」を作り、自分の意思を残すようにしてください。

 

【相続プランの項目】
・現状分析と課題整理
・対策の提案と成果の検証 

◆ 【経済面の対策詳細】不動産・現金を活用した生前対策と効果
◆ 【経済面の対策詳細】その他の生前対策と効果
◇評価の基礎資料1 相続人・不動産・動産の確認と評価
◇評価の基礎資料2  適用可能な制度の検証 

・対策後の評価と成果の検証
・【感情面の対策詳細】分割案と争い防止の対策

以上のアドバイスをしたところ、
Tさんご夫婦は「相続ブラン」の作成を依頼したいということで、夢相続でプランニングをすることになりました。

以下、内容の概略をご紹介しましょう。


◆【相続の情報】

【家族構成】
・父(80歳・被相続人予定者。農業従事者(野菜農家)。 ・母(78歳 )
・長男(50歳 会社員・相談者)・次男(独身 会社員)

【財産構成】
<不動産・土地>
 自宅土地         約1476㎡  価格:約4,576万円  
 貸家           約 839㎡  価格:約4.358万円
 市街化農地(畑)      合計 8,100㎡  9400万円

調整農地 (田)      合計 5,200㎡ 400万円 小計2億7000万円

<不動産・建物>
建物 自宅・作業所・貸家8棟     1000万円

<金融資産>
現金.預金              約2,000万円
<合計>              3億200万円
≪相続税予想額≫           5800万円

 

◆【現状分析と課題】

■財産の90%が市街化区域内の農地 畑
ほとんどが活用されていない畑。収入があるのは1か所。固定資産税は年間115万円。

■最寄り駅から徒歩25分以上
賃貸住宅には向いていない
現在所有している賃貸物件も半分は空室

■農業の後継者がいない
農業では採算が合わないため営農するメリットがない
納税猶予を適用すると相続税は6分の1程度になるが使えない

■収支が合わない
13か所の土地のうち収入があるのは1か所192万円のみ
全体の固定資産税を払うとほとんど残らない

 

◆【課題チェック】

■【不動産が多い】自宅の他にも不動産がある
■【広い土地】  広い土地がある
■【生産緑地】  生産緑地に指定された市街化の農地がある
□【特殊事情】  無道路、不整形など事情がある
■【不動産の活用】未利用の土地や更地がある
■【賃貸事業】  賃貸事業の見直しや検討が必要
□【底地の所有】 借地人が居住している土地がある
■【相続税】   現状で相続税がかかることは間違いない
■【相続税納税】 相続税の納税資金がない
■【土地の売却】 土地を売却しないと納税できない
□【納税猶予】  以前に納税猶予を受けた農地がある
□【不動産の物納】物納したい土地がある

 

◆【対策の提案①】

■資産組替・・・農地9か所を売却して区分マンションを購入
土地9か所の相続評価 2億3164万円
売却予想額     1億6000万円 ※区角割などすると減額されるため
購入後評価      4800万円

 

 

◆【対策の提案②】

■生命保険・・・1500万円
非課税枠分を加入

 

◆【対策のポイントと効果】

・相続税が減らせる
5805万→0円に

・収入が増やせる
年間192万円→年間400万円に 2倍

・固定資産税が減らせる
年115万円→80万円程度

 


◆【相続実務士より】

◆市街化区域の農地は収入がないと維持できない
農家は土地があることが大前提ですが、純粋な農地は市街化調整区域にあり農地としての利用に限られているため、固定資産税も低く維持するのはそれほどの負担はありません。農地としての利用に限られるため、原則は家が建てられない土地で、農家同士の売買に限られるため、一般の市場に出ることもありません。

しかし、家が建てられる市街化区域の場合は、生産緑地に指定しない限り、農地も宅地並み課税となり、固定資産税も相続税も一般の宅地と変わりません。

ということは、市街化区域にある農地は農業収入よりも固定資産税が高く、維持することはできないのです。宅地に転用してアパートなど建てて収入を上げていくか、売却して賃貸物件に買い替えるなどして収入を生む不動産にしないと維持できません。

 

◆13か所の土地があるのに収入は1か所だけ!
Т家の場合は、その典型的な事例で、13か所の土地のうち自宅と貸家以外の農地からは収入がなく、貸家の家賃で固定資産税を払うと毎月の生活費も出ないことになります。多くの土地があってもプラス資産になっていないということです。

 

◆土地を活用して、相続税を減らして、収入を上げる対策が必須
土地の収支を確認し、プラス財産にしたうえで、相続税も減らせるよう意識を切り替えて対策に取り組んで頂く必要があります。
提案書には解決策となる資産組替を提案し、検討してもらうようにしました。

 

 

 

 

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