事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
ついでに2棟目も建てる!?消費税増税前の駆け込み契約でいいのか?
◆自宅の敷地が180坪!
セミナーに参加されたTさん(50代男性)は、父親の敷地に家を建てて妻子と住んでいます。
父親は80代になり、そろそろ相続も気になり始めました。
Tさんよりは、父親と同居する兄(50代)が相続対策をしておきたいと言い出しました。
兄にも妻と二人の子供がいます。父親の敷地は180坪あり、角地に位置しています。
自宅は50坪、Tさんの自宅が50坪を利用しています。
角地に25坪の駐車場があり、自宅の反対側に55坪の駐車場があり、4カ所に分かれた使い方をしています。
◆55坪の駐車場にマンション計画
兄は銀行にも勧められて複数のハウスメーカーにマンションのプランを作らせて比較して、そのうちの1社に絞り込みました。
その段階でTさんに報告があり、鉄骨造3階建て1LDK9世帯のマンションを建てる予定で、
父親も納得しているということでした。
間取り図や収支計画書など一式の書類のコピーも渡されたので、Tさんも試算してみました。
建築費は9000万円で、諸費用など合わせて銀行から1億円の融資を受けるといいます。
この事業で父親の相続税はもうかからなくなるので、節税対策とすれば申し分ないということです。
◆ついでに角地にもマンションを建てる?
消費税が今年の10月から8%から10%になるということで、
ハウスメーカーは3月までに契約したもらいたいということを聞いていました。
それだけでなく、Tさんの家の隣地の25坪の駐車場にも4世帯のマンションを建設したほうがよいと
図面や収支計画書があると兄から渡され、ハウスメーカーからもいろいろと説明がありました。
消費税が上がる前に契約しておくと8%のままでいいので、メリットがあるというのです。
果たしてこの計画でいいのかと相談に来られました。
◆もう節税対策はしなくていいが
Tさんの父親の土地の評価やその他の資産を合計したところでは相続税はかかりますが、
同居する母親や兄が相続すれば相続税負担はうんと減らせます。
今回、駐車場にマンションを建てる計画が実現すれば借り入れが必要になりますので、
その時点で相続税はかからなくなります。
よって、2棟目のマンションは節税対策としては建てなくてもいいのです。
しかも、1棟目と同じハウスメーカーの提案で、
2棟一緒に建てるので価格も考慮するという説明で、間取りも同じものでした。
◆ついでに建てる?
見るからについでに建てる感じがあるのと、消費税の増税前という触れ込みで
ハウスメーカーの売り上げになるからという目論見が見え隠れしているように思えます。
Tさんには節税は必要ないため、建てるならば、最寄り駅から徒歩15分というぎりぎりの立地に差別化できるように
コンセプトを明確にするようアドバイスしました。
家族で慎重に相談すると言ってTさんはお帰りになったのでした。
相続実務士からのアドバイス
最寄駅から徒歩15分の立地は安易に賃貸住宅を建てることは不安があります。
節税のバランスが取れているのであれば無理をしないほうがよいと言えます。
コラム執筆
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