事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
アパートが老朽化。しかも共有名義。母親の対策はどうする?
【相談内容】
母親と同居するAさんが相談に来られました。
母親が80代の後半になり、相続対策をしてもらうのにどうすればいいか迷っているということです。
母親は父親から相続した自宅と、他にアパートと貸倉庫を所有しています。
父親が亡くなった時に大部分は母親が相続しましたが、不動産は共有にしました。自宅は次女と、アパートは長女、次女と、貸倉庫は長男と、それぞれが共有で所有しています。
母親の相続で、共有は問題にならないか、次はどうすればいいか、アドバイスしてもらいたいということです。
アパートは築40年近くなり、8世帯のうち、2世帯は空室となっています。このアパートもどうすればいいか、ということでした。
【ご家族の状況】
母親(80代)・・・次女と同居
長女(50代)・・・他県在住 アパートの持分あり。既婚。子ども2人。
長男(50代)・・・アパートの一室にて居住。独身。将来が心配される。
次女(40代)・・・ご相談者(お母様の相続のご相談)夫と子供3人。
◆Аさんが聞きたかったこと
◇経済面の不安
①相続税がどのくらいかかるか?
②アパートが母親、姉と3人共有。どうすればいいか?
③アパートが老朽化しており、不動産会社から建て替えを勧められている。
◇感情面の不安
①兄が独身。将来は近くにいる自分がサポートする心つもりはしているが不安。
②姉とは住まいが離れているので母親の介護は頼れないし、揉めたくない。
【現状分析と課題】
〇現状の財産
不動産は自宅、アパート、貸倉庫、区分マンションの4つで、それぞれに子どもと共有しており、評価は7500万円。預金が1500万円ありますので、財産は9000万円。
相続税は約600万円という試算となりました。
◇課題
〇不動産が共有となっているため、相続では共有する子どもに母親の持ち分を相続させる配慮が必要です。
アパートの建物は築年数が経ち、これから維持費がかかるため、建て替えを検討する時期です。
〇遺産分割については、不動産の評価に差があり平等にならないため、母親の意思で決めておき、争いにならないよう遺言書が必須となります。
また、高齢になる母親や独身の兄の生活支援は同居する次女が担当する役割のため、寄与分として遺産分割に反映させる配慮があったほうがいいでしょう。
【相続対策の提案1】
一番の課題となるアパートについて、これからの対策の比較をしました。
<プラン1> 建て替え アパートを2棟建てる ⇒ 分割するため
<プラン2> 建て替え 戸建て賃貸を4棟建てる ⇒ 分割するため
<プラン3> 建て替え ガレージハウス1棟建てる ⇒ 差別化のため
<プラン4> 売却、資産組替 売却して区分マンションを複数室、購入する ⇒ 分けやすくするため
【相続対策の提案2】
アパートの相続を複雑にしないために、所有割合が多い、Aさんが姉の持ち分を買い取ることで共有しない方法を提案しました。
姉の共有部分は約1200万円の評価となるので、建て替え時に譲り受けをしてもらうことで共有を解消する。
【相続対策の提案3】
きょうだいが揉めないように母親には遺言書を作成してもらうことが必須だとおススメしています。
同居するAさんが自宅とアパートを相続、兄には家賃収入がある倉庫と駐車場を、姉には預金という内容が現実的な遺産分割だと想定されます。
アパートの建て替えを勧めながら、遺言書も作成するようにします。
相続実務士のコメント
Aさんは母親と同居して、不動産の管理もしてこられました。兄は不動産などに関心がなく、姉は他県にお住まいということで、母親の相続対策はAさんが段取りをして、母親や兄姉に説明をして理解を得るようにされました。
母親は80代で、自宅で生活されていて元気だとはいえ、やはりアパートの建て替えという大事業となるとひとりでは決断できず、Aさんが動いてあげたことで対策が進みだしました。
いくつかの選択肢の中で比較検討した結果、Aさんが姉より10分の1の持ち分を買い取り、母親名義で1棟のアパートを建てるという堅実な案に落ち着きました。アパートを建て替えることにより収益も増え、相続税はかからなくなります。
最初のご相談は無料です。
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