事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
サブリース契約は解除できない!?契約時は慎重に
◆父親は介護施設に
Yさん(60代女性)の父親は、母親が70代で亡くなってから10年、80代半ばまで自宅マンションで一人暮らしをしてきました。子どもは長女のYさんと妹の2人で、2人とも結婚して父親の自宅とは離れたところで生活しています。
父親は、週に3回ほどヘルパーが訪問してくれて、Yさん姉妹も定期的に行くようにしてサポートしてきました。ところが、自宅で転倒して骨折してしまい、入院して自分で歩くことが難しくなり、車イスが必要になりました。自宅のマンションはバリアフリーではあるものの自力で入浴など動くことが難しくなりました。こうして必然的に父親は介護のサポートが受けられる介護施設に住み替えざるを得ない状況になりました。
◆マンションを賃貸に
父親のマンションが空室になったとき、今後、一人暮らしに戻ることは難しいとなりました。父親と妹と相談し、荷物を整理して、賃貸しようと決めました。介護施設の費用も必要になるため、家賃が入るようになることはプラスになると考えたのです。
Yさんは知り合いから紹介された不動産会社に相談し、リフォームし、賃貸募集を依頼しました。築年数は経過しているのですが、最寄駅から徒歩1分、買い物などの利便性もよく、3LDK、75㎡の広さがあるので管理費込みで18万円の賃料が想定されるということで、すぐに依頼をしたのです。
◆サブリース契約
リフォームが始まり、募集が始まるときに不動産会社からサブリース契約の提案がありました。想定賃料の80%で借り上げるので、空室の不安はなくなるとのこと。賃貸契約も不動産会社と行い、入居者とのやりとりは不要ということで、父親と妹にも相談して、サブリース契約がスタートしたのでした。
その後、父親が亡くなり、マンションは代表でYさんが相続しましたが、売って妹と分けることにしたため、売る段階でサブリース契約が解約できないと言われたのでどうすればいいかと相談に来られたのです。
◆解約できない
不動産会社との契約書を確認すると解約条項は不動産会社側からのみとされており、Yさんが担当者に聞いても「貸主からは解約できない」という回答だったのです。
当社でも提携弁護士などにも確認してみたところ「借地借家法28条」が適用されるため、貸主からは正当な理由がない限り解約できないというのです。
◆借地借家法第28条とは
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
◆解決策は?
このように貸主が所有者の意思でサブリース契約しを解約したくても、サブリース契約の借主は借地借家法第28条を適用するため、正当な理由がないと解約できないのです。Yさんには借地借家法28条にある正当な事由に該当する項目はありません。
それでも妹と父親の財産を分け合うためには、サブリース契約書解約し、売却できるような物件としたいということです。次にできることは、解約違約金の交渉をして合意する方法を見つけていくしか無さそうという弁護士からのアドバイスを伝えました。
サブリース契約の内容を理解しないまま契約していることが多いのが現状と言えますので、慎重に判断することが大事だと思えるご相談でした。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
契約解除をもとめてサブリース会社と交渉していく
法律的な内容は弁護士に相談して解決する
●注意ポイント
サブリース契約は貸主から解約できないことがあるため、注意が必要です。
契約時に慎重に判断しましょう。
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