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相続実務士が対応した実例をご紹介!

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不動産売却が確実な遺留分対策となる!「時価」を決めるメリットがある

 

■離婚して実家に戻って生活、両親の面倒を看てきた

Sさん(60代女性)は30代のころ、夫と離婚し、ふたりの子どもとともに、実家に戻って、両親と同居してきました。まだ子どもが小学生のときでしたので、両親も子どもたちも同居することでにぎやかな生活ができたと言えます。

Sさんのきょうだいは、姉と弟がいますが、それぞれ結婚して、家から離れていますので、Sさんが実家に戻ったときには両親ふたりの生活となっていました。姉も弟も実家からはかなり離れたところで生活していましたので、両親はSさん親子が家に戻ってくることは大歓迎。その後、Sさんのふたりの子どもたちも就職や結婚で家を離れましたので、両親とSさんの3人の生活が長かったと言えます。

両親が高齢になったとき、同居しているSさんが面倒を看ることは暗黙の了解があったと言えますが、それに甘んじて、姉も弟もまったく協力することはなかったと言います。

 

■姉弟は父親の相続で遺留分請求してきた、その後、絶縁

10年前、父親が亡くなったとき、父親は遺言書を作成しており、家は母親とSさんで2分の1にするようにとされていました。預金は母親に半分、残り半分を3人で等分にとも書かれていました。

まだ自宅の土地は8000万円、建物は500万円で母親とSさんが2分1の割合で相続。預金は3000万円でしたので、母親が1500万円、こどもたちがそれぞれ500万円を相続しました。

姉と弟は、500万円を相続したのですが、それでは少ないと、母親とSさんに遺留分請求を起こしました。家庭裁判所の遺留分の算定は、預金の調査と不動産評価が主となり、3年かかりました。姉と弟は1000万円近い遺留分を得たのですが、姉と弟は、母親とSさんとは絶縁となり、10年になります。

 

 

■遺言書がないと困ることは目に見えている

母親は自分が亡くなった時にSさんが困るだろうと思い、父親の遺留分が確定し、支払ってひと段落したころ、夢相続に相談に来られています。夢相続では公正証書遺言の証人業務を受けていますので、Sさんのお母さんの遺言書作りをサポートしました。

夢相続では、父親の相続の状況を聞き、現在は姉弟と絶縁になっていることから、今後も関係がよくなることは期待できないと判断し、公正証書遺言の作成をおススメしたのでした。

遺言執行者はSさんと記載されています。母親も自分の遺言書ができあがり、財産はSさんに託し、自分の相続の手続きは夢相続でお願いしたいと言われており、少し、安心されたようではありました。

 

■母親が亡くなったときの遺留分はどう計算する?

15年経った今年、遺言書を作っておられたお母さんが亡くなったとSさんが相談に来られました。母親の遺言書は、「全財産はSに相続させる」となっていますので、遺言書の正本で、遺言執行者であるSさんが手続きをすれば、相続登記ができます。他の相続人の姉や弟の協力が得られなくてもSさんだけで手続きができるのです。

けれどもSさんの一番の心配は、姉と弟からの遺留分請求だといいます。父親の相続のときには、とにかくできるだけ多くもらうという意思表示があり、3年もかかった経緯があります。今回も同様に、絶対に請求してくるはずといいます。

 

■遺留分とは、相続人に保障された最低限の財産の権利

遺留分とは、相続において、亡くなった人にかかわる財産のうち、相続人それぞれが取得できる権利を侵害された場合、法定割合の半分まで請求できる権利のことです。遺言者は、遺言により共同相続人の相続分を指定したり、遺贈により相続財産を特定の者に与えることが自由にできます。しかし、遺言で財産の処分を無制限に認めると、被相続人の遺族(相続人)の生活が保障されなくなる可能性があります。そこで民法は遺言に優先して、相続人のために残しておくべき最小限度の財産の割合を定めてあり、それを遺留分といいます。

 

■遺留分算定の基礎となる財産は

遺留分算定の基礎となる財産は、亡くなった人が相続開始の際に保有している財産の価額に、その贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して算定します。

遺留分の割合は、相続人が直系尊属だけの場合は、遺留分算定の基礎となる財産の3分の1、その他の場合は2分の1とされています。

ただし、遺留分の請求ができるのは、相続の開始及び遺留分を侵害する遺贈や贈与があったことを知ったときから1年以内、または相続開始から10年経過する前に請求しなければならないとされています。

 

売却することが確実な遺留分対策になる

母親の預金はほとんどなく、自宅の土地が財産のすべてです。すでに半分はSさん名義になっているというものの、母親の土地の持ち分の相続評価は約4000万円、建物が500万円です。けれども周辺の売買事例は5000万円~6000万円程度のこともあり、路線価評価よりは高くなるのではとSさんは不安に思っているといいます。生前に遺留分を減らす対策をしておけばよかったと言えますが、母親の年齢的なこともあり、借入をして建て替えたり、売却して、住み替えたりはできませんでした。

 

■亡くなってからできるこれからできる遺留分対策

亡くなってからできる遺留分対策は、「時価」を確定することが第一となります。特に不動産の場合は、評価の仕方がいくつもあり、不動産鑑定師による周辺の取引事例を集めて適切な評価をしたとしても、その不動産の評価そのものではないため、路線価よりも高い想定価格となりがちです。

そうしたことからも、実際に売却してしまうことで、売買価格=時価が確定するのです。

Sさんの場合、土地の面積は100坪以上ありますが、公道に接している間口が2.5mしかないため、建物は1棟しか建たず、共同住宅もできないという事情がありましたので、路線価評価以下にしか売れないという結論になりました。

そこで、こうした特殊な事情を考慮しない「時価」の争いになることは目に見えていますので、売却をして不動産価格を確定することをお勧めしました。売却することで「時価」が確定すれば確実な遺留分対策になると言えます。

 

■売却が決まり、遺留分が確定できた

幸い、Sさんが相続された不動産は路線価の9割程度で売却が決まりましたので、遺留分の額も確定させることができました。そのうえで、遺言書があることを姉弟に知らせていくようにするということです。

Sさんの一番の心配事の遺留分について、争う余地がない準備ができたことで、ほっとしたと話されていました。

夢相続ではこうした遺留分を考慮しながら、不動産の売却のサポートをしています。売却、住み替えの決断は必要ですが、不動産価格の算定で何年も調停をするよりも、「時価」を決める価値はあります。不動産の相続や分割に不安がある場合は、夢相続のいままでの経験値やノウハウがお役に立ちますので、ご相談ください。

 

 

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