事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
不動産実務を知らない弁護士の分割協議書では節税できない!
◆父親が亡くなって7年
Sさん(60代・男性)が相談に来られました。
父親が亡くなって7年経つが、まだ相続手続きができていないため、これから進めていくのにアドバイスをもらいたいという内容です。
母親は父親よりも先に亡くなっているため、父親の相続人はSさんと二人の姉の3人になります。父親の財産はSさん家族が同居してきた自宅と預金で、基礎控除の4800万円は超える額でしたが、父親に遺言はなく、同居する人がいれば相続税はかからないと聞いていたため、相続税の申告はしなかったといいます。
相続手続きはしてこなかったが、父親の財産は姉たちと分けていくとも言われました。
◆相続税の申告は必要?
本来は亡くなってから10か月以内に相続税の申告が必要で、その時に同居するSさんが相続する遺産分割協議書を添付することで納税は不要になります。
ところがSさんは、相続税がかからないと思い込み、遺産分割をしないまま7年経過してしまったと言います。
申告をすれば納税はなしとしても、本来は相続税の申告をしておくべきでした。こうなると相続税の時効に該当し、税務署に申告する術がありません。
◆弁護士の遺産分割協議書
二人の姉はSさんが長男として両親と同居してきたことは評価していますので、相続の話もSさんから切り出されるのを待っていたようですが、父親が亡くなった当時、仕事が忙しく余裕がなかったため、そのままにしてしまったのでした。
いよいよ姉たちから遺産分割したいという話があり、弁護士に相談したと言って遺産分割協議書の案も渡されたと持ってきておられました。それには自宅を3人名義にして売却して3等分するというものでした。
父親の財産を3等分することは致し方なく、それには自宅を売るしかないということも覚悟しているとSさんは話をされました。
◆3人共有のデメリット
自宅に住んでいるのはSさんだけで、姉二人は同居していません。それを3人名義にして売却すると、譲渡税の特例が受けられるのはSさんだけで、姉二人には適用されません。
こうした場合、譲渡税の負担を減らし、登記や契約関係、譲渡税の申告関係の負担を減らすためにも3人名義にすることはデメリットが多いため、自宅はSさん1人が相続し、売却して経費を引いた残りを3等分するほうが得策だと言えます。
◆代償金
3人名義のデメリットをなくし、同じ内容の遺産分割協議にするには、Sさんが姉二人に代償金を払う方法を選択します。そのような内容の遺産分割協議書にするようアドバイスしてこちらで作成することをご提案しました。
不動産実務に慣れていない場合、財産を3等分するには不動産も3人名義としがちですが、自宅として利用している人が自宅を売却した場合、利益の3000万円まで譲渡税がからないという特例が活かせるため、譲渡税は600万円節税ができるのです。
登記や契約関係、申告費用を考慮するとそうした費用も1人が集約して担当できるため、Sさんにはその方法をおススメしました。
Sさんもそのようにしたいということで納得されました。これで姉たちにも説明できると、ようやくほっとされたようでした。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒父親の財産について遺産分割協議をして相続手続きを終わらせる。
父親の自宅を3等分するには売却、換金して分けるようにする。
自宅はSさんが相続、代償金を払うことが実務的な選択肢となる。
●注意ポイント⇒自宅を3人名義にすると姉二人の譲渡税の特例は使えないため、
譲渡税が減らせないばかりか、契約・申告など手間も増えるため、得策ではない。
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