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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

亡兄の子は海外在住。遺言書で長女に財産を渡す相続を用意した

 

■母親の自宅が等価交換でビルになった

Tさんの母親は、兄とTさんの2人の子どもを育てながら美容院を経営して来られました。父親はTさんが中学生の頃に亡くなってしまい、その後、母親は懸命に美容院で働く日々だったと言います。

その美容院は、父親が健在の頃、土地を借りて建てており、1階が母親の美容院、2階が家族の住まいという店舗併用住宅でした。店舗は最寄駅から5分のところにあり、幹線道路に面していました。人通りも多く、美容院も繁盛していたといいます。

立地がいいだけに建築会社から店舗併用ビルの計画が持ち上がり、店舗と住居で100世帯以上の分譲マンションを建てると計画でした。

母親の場合、土地は借りていますが、借地権を持つ立場です。1階の店舗はできなくなるが、等価交換により、住まいのフロアに3つの1ルームの部屋を所有権としてもらえる話でした。美容院の店舗は他で借りるようにして、母親は1部屋を自宅として住み、残りの2部屋を貸して家賃を得るようになりました。30年前のことだと言います。

 

■兄が亡くなって、兄嫁と子どもたちは海外へ移住

母親の自宅が等価交換でマンションになったころ、兄とTさんはすでに二人とも結婚して、実家を離れて別のところで生活をしていました。

母親はずっと1人暮らしでしたが、兄は長男として母親の近くに住み、跡取りということで、将来は母親の面倒を看ることが家族の暗黙の了解でした。

けれども、そんな兄は40代で急死してしまったのです。母親の落胆は言うまでもありませんが、それよりも母親を落胆させたのは、兄嫁の言動でした。

兄嫁は「子どもたちの教育のためにハワイに移住するので、姑の面倒は看るつもりはない。」と言い、ほんとうに2人の子どもをつれてハワイへ移住してしまったのでした。

 

■母親は公正証書遺言を作成していた

母親は兄が家を購入するときに資金援助をしており、兄が亡くなっても、兄嫁と2人の孫は住むところの不安はありません。しかも、ローンは団信の生命保険が下りて返済できましたので、ローンの返済は不要になりました。

兄嫁は日本を離れる際、自宅は自宅を売却していますので、まとまった現金も得られたと言えます。

こうした状況から母親は自分の老後を亡兄家族に託すことはできないとはっきりと認識したようで、覚悟ができたようです。結果、今後はすべてTさんに頼るしかないということで、財産もすべてTさんに相続させることしにして、公正証書遺言を作成されました。このときに夢相続では証人業務を引き受けていて、母親の公正証書遺言の作成をサポートしています。

 

 

■母親が亡くなり、公正証書遺言で相続登記

母親は今年、90代で亡くなりましたが、公正証書遺言を作成されてから10年後のことでした。Tさんから連絡があり、母親が亡くなったので、相続の手続きをしたいと来社されたのでした。

母親の公正証書遺言の内容は、「長女に全財産を相続させる」という内容です。付言事項には「亡長男には自宅購入の際に十分な援助をしているので、このことを理解して遺留分を請求しないように」とも書かれていました。

亡兄の子ども2人はすでに成人していますが、日本に帰るつもりはないようで、兄嫁とともにずっとハワイ暮らしをしています。

 

■母親の財産はマンションの3部屋程度。相続税の基礎控除以内

母親の財産は自宅1部屋と賃貸物件の2部屋。等価交換で取得していますので、3つとも同じマンション内にあります。時価は1部屋1500万円ほどですが、相続評価は1部屋800万円程で、預金などを合わせても3000万円程度の財産だと確認できました。よって基礎控除4800万円以内となり、相続税はかからず、申告も不要でした。

残るは名義替えです。公正証書遺言により、Tさんがすべての財産を相続するため、公正証書遺言の「正本」を預かり、司法書士への委任をして、相続登記を進めることができました。

 

■海外在住者の遺産分割差協議は領事館でサイン証明が必要

仮に母親が公正証書遺言を作成されていなかったとすると、Tさんと亡兄の子どもである姪と甥の3人いで遺産分割協議書を作成しなければなりません。母親の意思を汲み取り、Tさんが全財産を相続することに合意が得られたにしても、全員で遺産分割協議書を作らなければなりません。

それには実印を押印し、印鑑証明書を添付するのが必須ですが、アメリカは実印登録がありません。どうするかというと、遺産分割協議書を領事館に持参して、サイン証明をしてもらい、割り印をして完成させることになります。

領事館に出向いてサインして証明をしてもらうことはかなりの労力が必要になり、甥と姪の協力は不可避と言えるのです。

母親の意図する分割の内容に合意が得られず、それぞれが財産を相続したいとなれば甥とめいの権利は4分の1ずつですので、マンションを売ってお金を捻出するか、マンションを相続する方法を選択するしかありません。

いずれにしても簡単ではなくなりますが、こうしたことを見据えて、母親は遺言書を作成していますので、Tさんひとりで相続手続きができるのです。

 

■遺留分は請求されなければ払わなくてもよい

Тさんはいつ頃、兄家族に伝えたらいいかと相談がありました。兄家族には納骨が終わってから遺言書があること、すでに資金援助をしており、母親のからも遺留分を請求しないようにと遺言書で明記されていることも伝えて、遺言書を送るようにアドバイスしました。

Тさんはそのとおりに兄嫁にメールして遺言書の写しも添付したところ、兄嫁からは「わかりました」という返事が来たといいます。生前に母親も贈与のことなど伝えてあり、さらに公正証書遺言があってスムーズに手続きができ、伝えることもできてよかったとお礼のメールが届いています。

母親の意思を実現しながら、親族が揉めずに手続きをするためには公正証書遺言の果たす役割は大きいと感じます。

夢相続では公正証書遺言の証人業務を受けておりますので、サポートさせていただきます。

 

■相続実務士のアドバイス■

●できる対策

公正証書遺言を作成して手続きできるようにしておく
財産は生前に渡して相続の財産分としておくる


●注意ポイント

海外在住者がいる場合は、遺産分割協議の手続きが煩わしいため、
公正証書遺言で相続登記などできるようにしておくのが親切。
遺留分は請求されなければ支払う必要はない。 

 

 

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