事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
介護した権利で預金はもらいたい!遺産分割がまとまらないときは弁護士が依頼先
◆父親の相続
Hさん(50代・男性)から父親の相続手続きについて、相談がありました。
母親は5年前に亡くなっており、そのときは父親が中心に手続きをしました。母親の財産は預金程度で申告の必要もなく、父親がすべて引き受けましたので、何も問題なく終わったといいます。
今回は姉50代と妹40代とHさんの3人が相続人です。
遺言書はないので、3人で遺産分割協議をしないといけないのですが、それが思うように進まないのでどうすればいいかとHさんから相談がありました。
◆家は姉が管理
父親の財産は評価が1500万円の自宅と預金です。
自宅は近くに住む姉が相続する予定になっており、Hさんと妹も合意しています。
Hさんは既に自分の自宅があり、妹は海外に居住しているため、賃貸住まいの姉が相続することは父親の生前から言われていて、母親が亡くなったあとは姉が父親の食事のサポートなどをし、家の管理もしていました。
◆父親の介護
父親は亡くなる1年ほど前から体調を崩し、入退院を繰り返していました。
姉は仕事をしていて、つきっきりで看病することは難しいため、亡くなる2ヵ月ほど前から妹が日本に帰り、父親の介護を担当していました。
妹の配偶者は外国籍で、夫の国で生活していますが、子どもはいません。そうしたことから妹が2ヵ月ほど近く父親の介護をすることができたと言えます。
◆預金がはっきりしない
妹が父親の介護をするようになり、預金も管理をしていました。通帳も妹が預かっていましたので、残高を知らせるように何度か催促して、ようやく3000万円くらい残っているという返事がきました。
それ以上になると相続税の申告も必要になるため、早めに確認したいところですが、通帳を見せようとしないため、はっきりした金額が伝わってきません。
姉と妹は連絡を取り合っているようで姉、妹対Hさんという構図になっているようです。
生前に父親が長女へ名義預金を渡した事もあり、その他の現預金もある筈との事です。
◆介護した自分がもらいたい
何度かやりとりをするうちに、妹は介護をした自分が預金は全部もらう権利があると言い出しました。姉は自宅をもらう予定になっているという主張で、預金ももらいたいと。
それぞれの思惑が対立して話し合いがまとまりそうにないといいます。
相続税の申告が必要か否かは預金や名義預金の額によるため、早めに確認をしてしまいたいところです。
妹から通帳の写しをもらえば済むことですが、それができないならば、Hさんが預金の取引履歴を入手することができるので、そうした方が良いとアドバイスしました。
◆話し合いが難しい
財産が確認できれば、次に分け方の話し合いが必要になりますが、現状では姉と妹が話し合いに応じないようです。これではいつまでも進みません。
こうした時には第三者に間に入ってもらうことが必要になります。姉と妹がHさんと円満に話し合いをしようということであれば、全員の意思を確認して合理的な分割案を提案することができるので夢相続でも担当することが可能です。
けれども、現状では全員の意思確認をすることが難しいと思えますので、Hさんが弁護士に依頼し、家庭裁判所の調停に持ち込むことが妥当だと判断しました。
事前に通知し、再確認した上で、自分達だけでは分割協議ができないとなれば、弁護士、家庭裁判所が依頼先になります。
Hさんは、やはりそうした手段が必要ですねと、解決に向けて気持ちが固まったようです。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒預金は相続人の1人が申請すれば取引明細を入手できる。
相続人間で話し合いがつかないときは弁護士、家庭裁判所が依頼先となり決断が必要。
●注意ポイント⇒弁護士に依頼、家庭裁判所の調停をすると
きょうだいはコミュニケーションがとれなくなり、絶縁になりかねない。
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