事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
道路側から売却したのが失敗。価値があっても旗竿地は分けられない!
◆土地を切り売りしてきた
Mさん夫婦は70代。長男のMさんと養子縁組したMさんの妻も父親から相続した不動産をほぼ2分の1の割合で所有しています。そろそろ自分たちの相続のことを考えたいと相談にこられました。
M家は戦前、祖父の時代に現在の土地を取得して開墾、農家として土地を守ってきましたが、戦後の混乱期を経て、経済的にも苦しい時代があり、少しずつ切り売りしてきたといいます。それでも、自宅と賃貸マンション、駐車場が一カ所にまとまってあり、それがMさん夫婦の一番の財産です。
◆道路側から売却して残りは旗竿地になった
Mさんの自宅は最寄駅から徒歩5分と近く、人気のあるエリアですので、3階建て12世帯のマンションは常に満室で、賃貸事業は順調です。相続税の節税対策にと建てたものですが、築20年になり、借り入れもほとんど残っていません。
自宅とマンションの建つ土地は300坪あり、ほぼ半分ずつ利用して、ゆったり建ててあります。ところが、道路側から切り売りしていったため、公道には5メートルしか面していない旗竿地になったのです。
◆価値があっても旗竿地は分けられない!
Mさん夫婦は4人の子供に恵まれました。同じ敷地のマンションに住む長男と近くに住む次男。長女、次女は嫁いでいます。それぞれ、孫にも恵まれて、円満なご家庭です。けれどもMさん夫婦の悩みは、相続になったら4人の子供たちにどう分けたらいいかということです。
金融資産はそれほど多くなく、不動産90%、現金10%という割合でした。不動産はまとまった面積があるだけに土地と建物を合わせると約6億円にもなります。特例を適用すれば相続税はなんとか払えますが、課題はそれだけではありません。6億円もの評価となる価値のある不動産なのに、等分には分けられないのです。
◆財産をどう分ける?
道路の形状からは土地を4つに分筆できる地形ではありません。自宅と賃貸マンションの二つに分けることは可能ですが、広い自宅を維持するには賃貸マンションの収入がないと難しいと言えます。
不動産を共有し、4分の1ずつ相続する方法は、権利は等分ですが、自宅やマンションに住む人と、そうでない人では不公平感があり、トラブルになりかねないため、お勧めできないことをアドバイスしました。
不動産を管理する会社を作って家賃を分ける方法も取れなくはないのですが、不動産の半分が収益のない自宅で、その維持のために家賃を投入しなければならないことも足かせとなります。いきなり、会社の名義にすることは難しいため、代表者が不動産を相続するとなると、孫の代で、相続や賃貸事業の運営で息詰まることは想像に難くありません。さらに迷路に入るようなことになるでしょう。
◆道路側から売ったのが失敗
そもそも整形地だったのが、Mさんの代になるまでの間に、道路側から売却してしまったことが失敗だったと言えます。将来、子供たちに分けると言う発想がなかったのかもしれません。
しかし、現在は平等相続の時代で、6億円であればひとり1億5000万円の財産を相続できるとなります。仮に、不動産を1人が相続すると想定すると、他の相続人に4億5000万円の代償金を用意しなければなりません。それは負担が大きすぎ、実現不可能だと言えます。
◆売却しかない
分筆も難しく、共有も課題があるとなれば、売却して換金、分けやすい財産に変えておいて、相続をしやすくするのが対策の優先順位と言わざるを得ません。Mさんご夫婦もなんとなくそうするしかないと思ってはいたが、やはり、そうですねということを言われていました。子供たちにそれをさせるのではなく、70代の元気なうちに自分たちで決断をして、見通しをつけておくことがいいといえます。
具体策については「相続プラン」の委託を頂き、提案しながら、サポートさせていただくことにしました。
◆対策は70代で
価値のある財産だとしても、持ち続けることで家族のトラプルを引き起こすこともあります。それが想定されるのであれば、元気な70代のうちに資産組み替えをしておかれることが必要でしょう。ときには形を変えたり、場所を変えたりすることも財産の持ち方だと言えます。
ご相談は夢相続へ
「著者が直接話を聞いてくれるとは思わなかった!」とよく言われますが、直にお話を伺ってアドバイス、ご提案をしてこそ、実例になります。お客様と同じ目線でお話を伺うところが夢相続のサービスであり、強みだと言えるかもしれません。
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