事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
同居して不動産全部!もらいたい兄VS認めない妹。争い不可避?
◆急に兄が同居をはじめた
Bさん(50代・女性)は、父親(80代)の相続が不安で相談に来られました。
母親も健在で、兄(50代)もいます。
兄家族は両親と同居せず、マンションを買って家族で生活をしてきましたが、
なぜか、兄は6年前から両親が住む実家に戻ってきて同居を始めました。
兄は、自分のマンションに妻と子が住んでいるのに、両親の世話をすると自分だけ同居を始めました。
兄嫁は両親の面倒を看る気もないようで、まったく来ようともしません。
◆父親に念書を書かせた!
父親には自宅の他に、アパートも所有しています。
実家から徒歩圏で、駅から近いので築15年経っていますが、現在も満室で稼働しています。
するとほどなく、兄からは「自分が家とアパートをもらう、Bさんには現金」と言ってきました。
兄は用意周到な性格で、二つの不動産は兄に相続させるという念書を書いてもらっていると、既定事実のようにBさんに伝えてきました。
しかし、Bさんは兄が同居する前からずっと両親のサボートをするために実家に通っています。
6年前から実家に戻ってきたからと我が物顔で言ってくる兄に対し、釈然としない思いが湧いてくると言います。
◆現金は減るかもしれない
Bさんが相談に来られた主な目的は、不動産と現金の割合を知りたいということでした。
計算してみると財産の75%が不動産、現金は25%だということがわかりました。
いまですら現金は25%で、これから介護などがはじまると、現金がどんどん減ってしまうかもしれません。
しかもアパートからは家賃が入りますので、さらに不公平感が出ます。
兄より以前から実家に通ってきたBさんとすれば納得できないと言います。
◆兄が財産を隠さないか?
兄は同居することを強みとして、両親が預金通帳を預かってしまっているといいます。
兄の性格上、細かいことを報告してくれなかったり、事後報告だったりしますので、
Bさんのさらなる不安は兄が財産を隠してしまわないかということで、どうも信用できないと言うのです。
◆もめないための遺言書は必須
Bさんにすれば、兄は同居してもらって、両親のサポートをしてもらえるのであれば、半分ではなく、
兄が多くなっても一向にかまわないのですが、全部を明らかにしてもらうことが条件です。
しかし、このままでは兄妹でもめそうなので、今のうちに父親に遺言書を作ってもらうことが必須だとアドバイスしました。
財産を等分にするなら不動産は1つずつ、が妥当なところです。
しかし、収益があるアパートも欲しいとなればバランスが取れません。
Bさんは早々に家族で話し合ってみると帰られました。
ぴったり半分にはできないにしてもほどよいバランスが必要だと言えます。
相続実務士からのアドバイス
同居して、親の面倒を看るために不動産はもらう、という意識の方は多いのですが、法的にはきょうだいは等分です。
Bさんの場合は、不動産をひとつずつが妥当なところかと思えますが、互いに合意できるように話し合いが必要でしょう。
最終的には父親の意思で決着するしかないかもしれませんので、家族の話し合いでまとめるようにしましょう。
コラム執筆
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