事例

相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

同居する家を相続すると妹にいくら払う?妹の本音が聞きたい

◆父親が亡くなった

Aさん(50代・男性)が妹(50代)と相談に来られました。
先月、父親(80代)が亡くなり、これから相続の手続きをしないといけないため、相談したいということです。
相続人は母親(80代)と子ども二人の3人です。
父親には遺言書がありませんので、3人で遺産分割協議をすることになります。

 

◆自宅が財産の8割

父親の財産は評価が約8000万円の自宅で母親とAさんは同居しています。預貯金が2000万円あり、父親の財産は約1億円となりました。
基礎控除4800万円を超えていますので、相続税の申告が必要になりますが、自宅の小規模宅地等の特例を適用すれば土地の8割、約6000万円の評価減ができるため、納税は必要ありません。小規模宅地等の特例を適用できるのは、母親かAさんとなります。

 

◆二次相続を考えると

母親の固有財産は預金1000万円程度と生命保険1000万円ということなのですが、自宅を相続すると二次相続でも課税対象となり、相続税の申告が必要となります。
また、母親は父親が亡くなったあと一挙に老化がすすみ、認知症の一歩手前のようで、預金の管理なども煩わしくなっているようで、今回の相続も自分はいらないとAさんと妹に言っているそうです。

 

◆妹の事情

妹さんの意見を聞いてみると「実家は兄が同居しているので権利を主張するつもりはないが、自分の生活を考えると現金は欲しい」と言われました。離婚したので自分で収入を得ないといけないため、相続でお金をもらえることは有難いということです。

 

◆分割案は?

財産の構成は自宅80%、預金20%で、4対1の割合です。母親が相続しないとなれば、相続分が50%ずつとなり、相続額は5000万円ですので、Aさんが妹に自分のお金を3000万円用意して払わなければなりません。
それでは負担が大きいため、その金額を決めるために提案してもらいたいということが相談に来られた主な目的でした。

 

◆現実的な分割案は?

父親の財産だけで分割するために、いちばん無理がないのは、自宅をAさんが相続し預金は全部妹が相続することです。4対1の割合でバランスは取れていませんが、Aさんの持ち出しはなく、負担はありません。
不動産はAさん、預金は妹にという方向性は合意ができているため、妹の譲歩が得られたら実現する内容です。

 

◆母親の預金も含めて

しかし、Aさんの相続分が多いのは明らかですので、次の提案は「母親の相続時に残る預金は妹にし、Aさんが相続するものはない」という内容です。
現在の母親の固有財産は約1000万円の預金と受け取りが1000万円の生命保険です。生命保険の受取人をAさん500万円、妹500万円と指定し、預金は妹に相続するとすれば、母親の相続発生時は妹が多く受け取れることになります。
Aさんも妹もそうした考え方で検討したいということで、引き続き提案してもらいたいと委託を頂きましたので、サポートしていきます。

 

 

相続実務士のアドバイス

 

●できる対策⇒小規模宅地等の特例を適用すれば納税はなしにできる。
       母親の二次相続を考えると父親の財産は相続しないことが得策。

●注意ポイント⇒子どもが小規模宅地等の特例を適用するための選択肢は同居していることで、
        Aさんしかないため、妹に理解を得ることが必要。
        母親の財産も確認したうえで分割案を決めることが望ましい。
        

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