事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
名義預金は名義人のもの?いつ渡せばいいのか?
◆母親はひとり暮らし
Tさん(50代・女性)の母親は80代後半でひとり暮らしをしています。
父親は5年前に他界していて、相続税の申告後には税務調査が入ったことから、母親の相続対策も考えなくてはいけないと思い、書籍やメールニュースを読んでいて、弊社の書籍やニュースの内容がご自分のケースに近いと感じ、相談に来られました。
◆夫から長男へ
自宅は幹線道路に面していて、その立地を生かして、両親は夫婦で中古車販売のお店を経営していました。父親が外車の販売を中心にお店を切り盛りし、母親が経理を担当していましたので、経営は順調だったといいます。
けれども父親が10年前に亡くなったあと、Tさんの弟が社長として引き継いだものの、以前のような勢いはなくなってきました。
◆名義預金を、名義人が受け取った
父親が亡くなった時、妹や弟の名義の預金口座を作っていることがわかりました。いわゆる名義預金です。
相続税の申告のときには、名義預金も父親の預金として申告をし、名義預金の存在を知った弟や妹の強い希望で、名義人が相続することにしました。
弟と妹の名義なので、当然、名義人でないと手続きできません。当然と言えば当然のことなのですが、預金は父親の指示通りに、母親が子供名義の口座に移していたこともあり、預金は全部配偶者である自分が管理したいという気持ちがあり、まだ、子供たちに渡す時期ではないという意見です。
◆名義預金のままだと、また相続税の申告が必要
父親の相続手続きとはいえ、長男名義の預金は、名義人の長男しか手続きすることはできません。長男が自分名義の預金を解約したとき、そのまま現金を受け取ってしまうのは自然の流れだと言えるでしょう。
仮に名義預金を母親が管理したいとなっても、それでは贈与したことにはなりません。また、母親の相続のときに申告をしないといけなくなるのです。
◆名義預金はいつ渡す?
母親も長男が受け取り、次女もそれに倣ったことから、しぶしぶながら了解した形となりました。二次相続の手続きを考えると、名義預金は早めに渡した方がよいのです。
そもそも名義預金となるのは、現金贈与をする際に本人に渡してしまうと使われてしまう、なくなってしまうということから渡さずに持ったままにしている預金です。
しかし、贈与は相互の合意が必要で渡し切ってしまうことも必要。父親の相続で名義人が相続したことでようやく贈与が成立したと言えます。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒名義預金は本人に知らせて早めに渡しておく。
親が作った預金口座の通帳や印鑑は本人に渡す。
●注意ポイント⇒贈与は相互の合意が必要。
贈与する側が勝手に口座を作って持っているのでは贈与が成立していません。
結果、相続財産として課税されるため、早めに渡しておくようにしましょう。
まとめて贈与したことにならないように分けてあれば贈与税はかかりません。
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