事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
固定資産税の請求が!凍結口座から150万円まで仮払いで対応できる
◆父親の預金は凍結
Kさん(60代・女性)の父親(90代)が亡くなり、相談に来られました。相続人は90代の母親と50代の妹の3人です。
父親は複数の不動産を所有し、不動産賃貸業をしているということで、定期的に家賃収入が入るのですが、銀行に父親が亡くなったことを知らせたところ、すぐに銀行口座が凍結されてしまったとのこと。
葬儀関係の費用は手許現金で賄うことができたものの、固定資産税の納付や相続手続きの費用が必要になるのに、どうしたらいいだろうかというご相談でした。
◆すぐには遺産分割協議ができない
父親は遺言書を残さなかったため、これから3人で遺産分割協議をしないといけません。父親の財産は約4億円で、不動産が3億円、預金が1億円という内訳です。
Kさんの心配は母親の二次相続のことを考えて、遺産分割をしたいが、どのような分け方をすれば良いのかが分からないということです。
不動産の管理は両親がしてきましたので、引き続き母親が不動産を相続すればいいという考えもあります。
しかし、父親が亡くなって一人暮らしになった途端に、母親は一人暮らしができなくなりました。
Kさんも妹も近隣に住んでいないため、毎日母親の様子を見に行くことが出来ず、介護のケアがある施設に入ってもらったのです。そうなると、コロナが収束するまで面会にも行けなくなり、すぐに遺産分割協議ができる状況ではなくなってしまいました。
◆仮払い制度を利用
そうこうするうちに固定資産税の請求書が届きました。また、賃貸物件のリフォーム代も必要になるといいます。
そこで、遺産分割協議がまとまる前でも、凍結した預金の仮払い制度があるので利用したほうがいいとアドバイスしました。
仮払いは、預金の3分の1の法定割合分を引き出すことができ、1つの金融機関で上限150万円までとされています。仮にKさんと妹がそれぞれ利用すると1つの銀行で300万円まで引き出せるようになります。
◆預金だけの遺産分割協議ができる
仮払い制度で固定資産税などは支払うことが出来ましたが、不動産の相続の仕方を決めることに時間がかかるため、とりあえず預金のみを、例えば法定割合にて遺産分割協議をすれば、解約などの手続きができます。
そうした遺産分割協議をしてはどうかということもアドバイスしました。
Kさんは、電話では母親と話ができるのですが、面会するにはもう少しコロナが収束してからになるといいます。妹と相談して、とりあえずは仮払い制度を利用することで進めるようにしたいということでした。それだけでも気持ちが楽になるので、良かったと帰られました。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒凍結された預金について、遺産分割協議がまとまる前でも相続人の法定割合分を仮払いしてもらうことができる
●注意ポイント⇒預金の仮払い制度は当座の費用の支払いなどのためであり、引き出した人がもらうことではなく、
遺産分割にて精算するようになるため、相続人で使い道を共有するようにしましょう。
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