事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
土地は義母名義。夫名義の家でも相続の時は明け渡しが必要?
◆土地が義母名義
Sさんが、義母の相続のときが気になると相談に来られました。
Sさんの夫は長男で、実家の敷地に別棟で家を建て、2人のこどもに恵まれて幸せに暮らしてきました。
夫には妹と弟がいますが、妹は他県に嫁いでおり、弟も仕事の関係で離れたところに住んでいます。
義父が亡くなった時には、義母が財産を相続しましたので、
建物は夫の名義ですが、土地は義母名義となっています。
◆母親の財産
今年になり、義母は脳梗塞を発症して動けなくなり、介護が必要になりました。
長男夫婦で看るようにするつもりが、娘のほうが介護しやすいとなり、
他県に住む妹が引き取って同居してくれています。
義母はすでに90代でいつ相続になるかもわかりません。
義母の財産は自宅と預金で、割合で言えば、自宅の評価が預金の倍近くなります。
今後、介護のために預金が減ることを考えると、自宅の土地が財産となります。
その土地には義母の住んでいた家とSさん家族の住む夫名義の家が建っていて
2軒分といえますが、縦長の敷地で分けにくい土地です。
◆相続になったら、家に住んでいられなくなる?
そろそろ義母の相続を考えないといけない状況なのですが、夫はのんびりしており、
財産はきょうだいで三等分すればいいと言っています。
土地のほうが価値が高いので、分けられなかったら売るしかないというのが
夫の考えのようで、相続になったら、夫名義の家でも住んでいられなくなり、
出て行かないといけないのかと不安になったということでした。
◆夫名義の家は義母の相続対象ではない
義母の財産は土地だけなので、夫名義の建物は義母の相続財産ではありません。
土地を分けることになっても、住んでいられなくなる状況にはなりません。
よって義母が亡くなったからといって、出ていく必要はないのですが、
しかし、土地はすぐには夫名義にはなりません。
妹弟たちと話し合いをして、相続する人を決めることになりますが、
妹も弟も自分たちの家があり、実家の土地を欲しいとはならないといいます。
◆夫が土地を相続するのが現実的
現実的な分け方を考えると、住んでいる夫が土地を全部相続し、
妹弟とは共有しないほうが問題が起こりにくいと言えます。
2人には現金を相続してもらい、不足分を夫が代償金として払うことが必要となりますので、
いまから金額の目安を話し合っておくことが必要でしょう。
代償金を用意できない場合は、売却して分け合うことも選択肢となるかもしれません。
◆家は子供たちに残したい
Sさん夫婦は空き家になった母屋を解体し、自分たちの娘家族を住まわせたいと考えていますので、
売却せすに乗り切りたいといいます。
自分たちのお金が足りなかった場合は、娘婿に協力してもらい、ローンを組むことも考えたいということです。
長男であるSさんが妹弟の合意を得ておくことで、計画的に相続ができますので、
そうした話し合いをすることをオススメしました。
とても安心したとSさんは安堵されて、不安なく過ごせると喜んでおられました。
相続コーディネート実務士から
親名義の土地に家を建てている人は多くあり、親の相続のときには課題となります。
暗黙の了解があるとはいえ、母親に遺言書を作成してもらい、
争いにならない用意までしてもらうと安心です。