事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
外国の不動産は日本の遺言書の効力が生かせるか?
◆日本に住んで40年
息子さんから相談に行ったほうがいいと勧められたとFさん(70代・男性)が来られました。
Fさんの国籍はヨーロッパで、日本に来てもう40年になるといいます。まだ自分の国で生活している頃に日本人の奥さんと出会い、結婚、二人の子どももその国で生まれました。
その後、仕事や子どもの教育のことを考えて日本に住まいを移したといいます。その後は日本と自分の国の両方に自宅を持ち、行き来しながら、生活をしてきたのです。
妻とは12年前に離婚し、現在は再婚して新たな生活を楽しんでいるといいます。
◆相続割合が変わる
Fさんの日本の家は離婚するときに元の妻に渡しましたので、現在ではヨーロッパの家と日本の預金が保有財産です。相続人が子ども二人のときにはそれを兄妹で相続すればよかったので、とくに問題はなかったのですが、Fさんの再婚によりそれが変わり、配偶者に半分、子どもたちで半分が法定割合となります。
相続問題が複雑になるので、子どもたちは再婚には反対だったようですが、Fさんの意思で再婚を選択したのです。
◆遺言書で決めておく
再婚相手は財産に執着する人ではないとFさんは言いますが、相続になったときに円満に話し合いができないとも限りません。特に子どもたちが気にしているのはヨーロッパの不動産です。
二人ともその国で生まれていて、毎年のように訪問していますし、長女は現在もその国に住んでいることもあり、愛着があるので二人で相続したいという希望です。
当然、Fさんもそうした考えであり、異論はありません。そのためには遺言書を作って手続きができるようにしておいてもらいたいので、相談してみればということでした。
◆日本の公正証書遺言で手続きできるか?
Fさんは現在、日本に住んでいるので、日本人でなくても日本の公正証書遺言は作成できます。実印登録はしていない方でも、サインをすることで要件を満たします。
よって日本にある預金や不動産などの財産は日本の公正証書遺言で手続きができることになります。
しかし、問題はヨーロッパの不動産です。
実際に手続きする際は、その国の法律により、名義替えを行いますので、その国の言語での作成が望ましく、さらに遺言執行者もその国の法律家であることが望ましいのです。
日本で公正証書遺言を作成し、ヨーロッパの不動産の記載をしたとしても現実にはそれでは手続きができないのです。
そこで、Fさんには日本の財産のために日本で公正証書遺言を作成し、ヨーロッパの不動産については自分の国に行って遺言書を作成することをおススメしました。
Fさんはよくわかりましたと納得され、二つの遺言書の準備をすると言って帰られました。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒日本の財産については日本の公正証書遺言を作成、
ヨーロッパの不動産については自分の国に行って遺言書を作成する。
●注意ポイント⇒日本で公正証書遺言を作成し、ヨーロッパの不動産の記載をしたとしても
現実にはそれでは手続きができないため、その国の専門家に依頼すること。
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