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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

姉への妬みが相続にも影響。理屈が通じないときこそ遺言書!

◆母親が80代後半

Hさん(50代女性)が相談に来られました。父親は10年前に亡くなっていますので、母親の相続人はHさんと3歳下の妹の二人です。
母親は80代後半ですが、まだ、元気で、父親が亡くなった後もマンションでひとり暮らしをしています。

Hさんは結婚して二人の子供に恵まれ、夫は上場企業に勤めるラリーマンで、海外勤務もしてきました。妹は結婚したものの離婚して、現在はひとり暮らしをしています。

 

◆相続税は払える。家賃も入る

父親が亡くなったときは、母親がすべてを相続しましたので、なんら問題はありませんでした。けれども母親の相続となると簡単にはいかないとHさんは言います。
母親の財産は現在住んでいる自宅マンションと貸家2軒と金融資産で約1億円。相続税はかかりますが、預金で払える範囲だと確認できました。現在は2軒の貸家から家賃が入るので、年金と合わせて生活に困ることはありません。

 

◆それでも母親の相続が心配

Hさんの一番の心配ごとは妹だと言います。夫や子供たちに恵まれて、しかも、正社員として仕事をしているHさんに対し、妹は離婚歴があり、子供は流産して恵まれず、いまは契約社員という立場です。
父親が亡くなって程ないころから、妹は体調を崩して入院、仕事も続けられなくなりました。そのころから、Hさんや母親に対して不満を持つようになり、なにかとぶつかるようになったのです。

 

◆姉への妬みが爆発

その後、Hさんは夫の勤務の関係で海外転勤となり、離れている間は、問題はなく、妹も落ち着いていました。ところがHさんが、日本に戻って生活をするようになってからはまた、妹の病気が再発してしまったのです。
仕事のストレスや姉への劣等感などが精神的なダメージをかかえるようになり、入院、投薬が必要になりました。母親に任せるのは大変なので、入院の保証人や手続きなどはHさんがしていて、定期的に様子を見に行くのですが、口を開けば病気になったのはHさんのせいだ、自分は犠牲になったという言葉ばかりだと言います。

 

◆母親の財産は自分に

妹の病状からは母親の老後を託すことはできないため、Hさんが責任を持つつもりでいます。また、妹には不動産の管理、運用も難しいと思われるため、それもHさんが引き受けるつもりです。
しかし、妹は最近になり、母親の財産はすべてもらいたいと言い出したのです。姉は仕事も家族もあり、なにも困ることはないから、それでいいだろうというのです。昔から姉ばかりいい思いをしてきたので、我慢してきた自分に権利があるという理屈のようです。
しかし、これには母親が激怒。なんとかしないといけないと思われたようです。

 

◆理屈が通じないときは遺言書が必須

妹の状態を考えて、今からできることをしておきたいというのがHさんの相談内容でした。話を聞く限りでは、冷静な話し合いができるとは思えません。
そこで、母親の遺言書は必須だと言えます。母親の相続時に妹の体調がよくなっているかもしれませんが、姉に対する妬みは長年のもので、なくなるとは思えません。話し合いをしなくてはいけない場合に、まとまらないばかりか、長年の恨みごとを言い出す機会になりかねません。
よって、母親の遺言書は必須だとアドバイスしました。

 

◆ほどよく分けることも必要

それでも相続したあとの妹の生活は長いと思われますので、ほどよく分けることも必要になります。財産はいったんHさんが相続し、不動産は処分して、等分くらいの割合で分けることが妥当だとアドバイスしました。ここでバランスを欠いてしまうと、さらに妬みの対象となりかねません。
遺言書を作る目的は話し合いをせずに、母親の意思で財産を渡せること、遺言執行者を指定しておくことで手続きができることです。

 

 

ご相談は夢相続へ

すでに感情的な対立がある場合、いいことでも説得できません。円満な話し合いになるはずがないと容易に想像できます。そうした事態にならないように、母親に遺言書を作成してもらうことは必須です。
Hさんの母親の年代では遺言書はまだハードルが高く、抵抗感があると言うことですが、妹を説得するより母親を説得するほうがはるかに楽だとアドバイスしました。
Hさんは早速母親を説得すると言って帰られました。


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