事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
<生前>相続プラン
娘婿には財産を自由にさせたくない!娘から、確実に孫に渡したい
Aさんは70代のご夫婦。本や新聞記事を見て、2人で相談に来られました。
Aさん夫婦はともに教職に就いて、仕事をしてきましたので、財産を残したのも 夫婦で協力したからこそできたことです。
そのため、自宅と2つのアパートは、すべて夫婦の共有名義で購入しています。
夫婦の財産を確認すると、自宅と6世帯のアパート、10世帯のアパート、 預貯金、有価証券などを合わせると、Aさんも、妻も、ほぼ1億円の財産となり、 合わせると2億円の財産となりました。今年から相続税が変わったため、本を読んだり、セミナーに出たりして、 いよいよ、対策をしておきたいと、2人で相談に来られました。
共有の自宅、アパート2棟、預金などで、夫婦合わせると2億円の財産。相続税も気になるところで、一次相続、二次相続での相続税を比較し、 分割案を検討しておくことが必要だとアドバイスしました。それぞれに財産があるため、これから節税対策をして、評価を減らすことも 含めた節税案の検討が必要です。
しかし、Aさん夫婦のいちばんの不安は別のところにありました。Aさん夫婦は、3人の娘に恵まれ、それぞれ嫁いで、孫もひとりづつ。 同居はしていませんが、幸い、3人とも近いところで生活をしているので、普段から互いに行き来して、とても円満です。Aさん夫婦と娘、孫が一緒に旅行に行く事もあり、とても仲がいいのです。
しかし、Aさん夫婦の財産が3人の娘に相続されたあと、仮に、娘婿よりも 娘のほうが先に亡くなることもなきにしもあらずです。
そうなると、Aさん夫婦の残した自宅やアパートが娘婿にも相続されるため、孫には相続されずに、娘婿が勝手に売ってしまうのではないか、と。
そうした不安を解消しながら、相続対策を進めたいというお気持ちでした。
また、2棟のアパートは古くなってきて、修繕費がかかり、空室もあるので 今後、いままでどおりに維持することが難しくなります。 これから20年、30年を見据えた不動産の維持の仕方を検討しなければ ならない時期にきています。
Aさん夫婦は、長女が代表で不動産を管理し、家賃を3人で分けていくのが 理想だということで、家族信託も検討していきたいというお話もありました。選択肢がいくつもありますが、賃貸事業は20年、30年と長丁場でもあり 状況により、管理、修繕だけでなく、建て替え、買換の大決断も必要です。
関係者は家族だけが望ましいこともあり、夫婦ともに遺言書を作成して 3人の娘と孫に相続、遺贈していけば、最初の不安はなくなります。 そうしたこともアドバイスをしました。選択肢を整理するため、相続プランの作成をお勧めし、娘さん達と検討してもらうことになりました。
財産もずっと同じでは維持できないため、先を見越した決断が必要です。
相続コーディネート実務士から
娘と孫には財産を渡したいが、娘婿には渡したくない、という気持ちは わかりますが、いつまでも同じ形の家族とはいかないのが現実です。
次世代に任せていく割り切りも必要だと感じます。