事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
嫁には実家を渡さない!夫が亡くなるともう住んでいられない。
◆次男夫婦が両親と同居。長男は別世帯
Kさん夫婦は次男の立場ながら、実家で両親と同居してきました。
本来、同居して家を継ぐ立場の長男は、結婚するときに実家を出て生活し、
子供が生まれて家を購入したこともあり、実家に戻る様子はありません。
姉も結婚して、子供がふたりとなり、自分たちで家を買って、生活しています。
兄よりも遠いところに住んでいるので、めったに来ない状況です。
そんなことで、両親は長男や長女には頼れず、
次男のKさん夫婦が両親と同居をして、サポートをしてきました。
Kさん夫婦には子供がなく、両親にとっての内孫がいないのですが、
それでもほとんど実家に来ない兄家族よりも、同居して毎日顔を合わせることで
両親も安心してくれています。
◆父親の意思は録音してある
父親はしばらくの入院を経て、1か月前に亡くなりました。
入院中の病室で同居するKさんに自宅や預金を渡すと言ってくれましたので、
父親に話して録音をして残してあります。母親やKさんの妻も病室にいました。
父親の財産は、自宅の持分3分の1で、3分の2は母親が贈与を受けています。
3分の1の評価は1000万円。預貯金は1500万円、有価証券500万円です。
生命保険200万円です。
家を買うときに兄は500万円、姉は1500万円の贈与を受けています。
◆兄の言い分 弟の嫁に実家は渡せない
葬儀の後、父親のメッセージを兄や姉に聞かせましたが、兄が納得しません。
兄は自分の家があり、これからも母親と同居するつもりはないものの、
次男夫婦に子供がないので、将来、実家は自分の子供に継がせたいと。
よって、土地の父親の持ち分3分の1は自分が相続するというのです。
兄も、姉も、同居するつもりはないのに、実家へのこだわりがあり、
そろって、次男夫婦には子供がないため、次男名義にすると妻が相続し、
自分たちの権利がなくなるから、そうはさせないといいます。
◆次男が亡くなったあと妻が住み続けられないのは理不尽
次男は父親名義の3分の1と母親名義の3分の2を相続して、
全部自分のものにして、老朽化した家を自分名義で建て直したい予定です。
それには土地が全部自分名義にならないと融資が受けにくいのと、
ずっと両親と同居して貢献してくれている妻にも申し訳ないと思うところ。
兄と姉は、Kさんが先に亡くなったとすると土地の名義の状態では、
いつまでも妻を住まわせてくれるとは限りません。
老後、長年住み慣れた土地から放り出されることにもなりかねないのです。
◆両親がいる時代は実家、先は個々の財産と割り切る
兄も姉も自分の家を購入するときに金銭の贈与を受けていますので、
父親の意思をくみとり、実家は次男の家になることを兄と姉に理解してもらうことが必要です。
両親と同居もせず、貢献していないにもかかわらず、
権利を主張するのは虫がよすぎるとことになります。
母親が亡くなったあとは次男固有の財産として、
自由に処分、活用できるように、割り切ることが必要です。
今回は、父親の意思を尊重し、意思を同じくする母親から、
兄と姉を説得してもらうしか方法がなさそうです。
Kさんは「母親は理解してくれるので、そうした方向で説得してもらう。」
そう言って帰られました。
相続コーディネート実務士から
そもそも実家を残すのは美談ですが、現実的ではないこともあります。
家という財産としてとらえて個々の財産して老後も安心していられるよう
合意を得ておきましょう。