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子どもたちの将来の生活はどうなる?土地で収入を作る方法!

■自宅の土地は140坪、建物は7LDK

Kさん(60代女性)はずっと両親と同居をしてきましたので、父親から自宅の土地と建物を相続されています。

自宅の土地は140坪あり、土地の3分の2に建物が建っていて、奥の3分の1は畑にしています。この自宅は曾祖父の代、戦前に買ったものだそうで、建物は父親が建て直し、昭和42年に建てられていますので、築60年近くになります。

当時は祖父母、父母、Kさん家族の夫婦と子ども2人が住んでいて、いちばん多いときで8人が生活していたといいます。その分、部屋も多く必要で7LDKもあります。

 

■父親が亡くなった時は遺言書があった

祖父母、両親ともに亡くなり、また、夫も50代で亡くなってしまったため、現在ではKさんとふたりの娘との3人暮らしとなっています。

昨年、父親が亡くなって、自宅はKさんが相続されました。父親の相続人はKさんと弟の2人。自宅は同居してきたKさんに、弟が家を建てている土地は弟にという生前から合意はできていたのですが、父親は公正証書遺言を作成してくれていたといいます。

そのお陰で、相続の手続きは何らもめることなく、父親の意思に従って進めることができ、弟ともいままでどおりに円満にできているといいます。

 

■財産は1億8000万円

いままでは家のことは父親の方針で何事も進んでいましたので、不安はなかったのですが、いよいよこれからはKさんが自分で判断していかなければならない状況になりました。これからのことをアドバイスしてもらいたいと親子3人で相談に来られました。

Kさんの財産は父親から相続した自宅と預金があります。140坪の自宅の評価は1億3000円を超えており、預金5000万円を合わせると財産は1億8000万円。2人の子どもの基礎控除は4200万円ですから、相続税は2935万円となります。自宅に同居していれば、小規模宅地等の特例が活かせて、相続税は3分の1の約1000万円となります。

 

■課題は2人の子どもの将来

Kさんの父親は保険の代理店をしていましたので、母親もKさんも父親の仕事を手伝っていました。父親が引退してからは母親もKさんも仕事を引き継いで継続するタイプではなかったため、父親が亡くなって廃業しました。結果、現在Kさんは無職です。

2人の娘は30代。長女は介護系の専門学校を出てから就職しましたが、体調を崩して退職してしまい、いまだに体調が戻らず、社会復帰が難しいと言います。

次女は中学生のころ不登校になり、高校もなんとか卒業しましたが、ほとんど自宅にこもる生活をしており、2人とも仕事をして収入を得ることができていないといいます。

Kさんの希望は、自分が亡くなった後、2人の子どもたちがどのように生活すればいいだろうかということでした。

そこで、相続プランの委託を頂き、これからどうすればいいか、提案することにしました。

 

■自宅の活用で収入を得る

Kさんの財産の7割が自宅土地です。140坪に3人が住む自宅と畑という現状では効率が悪く、収入もないため、持ち出し状態です。

そこで自宅土地の活用方法をあげて検証しました。選択肢は4つあります。

【1】自宅土地をそのまま残し、に賃貸併用住宅を建てる
【2】自宅土地の奥半分を売却し、売れたお金で手前土地に賃貸併用住宅を建てる
【3】自宅手前を売却し、売れたお金で奥に賃貸併用住宅を建てる
【4】自宅土地を売却して、別の立地に自宅と賃貸不動産を購入する

それぞれ、メリット、デメリットがあります。

【1】自宅土地をそのまま残し、に賃貸併用住宅を建てる 
メリット 自宅土地はそのまま残せる、家賃が入り返済もでき、手元にも残る
デメリット 3階建ての賃貸併用住宅が建ち、建築費が4億円ほどかかる

【2】自宅土地の奥半分を売却し、売れたお金で手前土地に賃貸併用住宅を建てる
メリット 自宅土地の半分は残せる、家賃が入り返済もでき、手元にも残る
デメリット 土地が半分になり、地形も変わる

【3】自宅手前を売却し、売れたお金で奥に賃貸併用住宅を建てる
メリット 自宅土地の半分は残せる、家賃が入り返済もでき、手元にも残る
デメリット 土地が半分になり、地形も変わる

【4】自宅土地を売却して、別の立地に自宅と賃貸不動産を購入する
メリット 借入のない自宅と賃貸不動産が持てる
デメリット 住み慣れた土地から離れないといけない

 

■どの方法を選択するのがいいか?

Kさんはまだ60代。ご自分の相続までは30年ほどあると想定されます。長寿社会になり、いいことながら、その間の生活費も必要になります。3人の家族がそれぞれ働いて収入を得ることができればいいのですが、現状ではそれは望めません。だからこそ、土地を生かして収入を得ることを選択することが賢明だと言えます。

自宅土地をそのまま残したい気持ちはあると言いますが、現状のままでは建物はどんどん古くなっていき、子どもたちの代まで待てないところ。

 

【1】は140坪の土地がそのまま残りますが、建て替えの建築費が4億円ほどかかります。しかも、全額借入するには子どもが連帯保証をする必要があるのですが、現在、2人とも勤務先がない状態ですので、金融機関が連帯保証人として認めないと思われます。

よって選択肢からはずれます。④の自宅土地を全部売却して、住み替えは140坪の相続評価1億3000万円程で売却できます。新居を購入し、残りで家賃が入る賃貸物件を購入することもでき、借入は不要です。いちばん負担の少ない方法でと言えます。

しかし、Kさん親子が住替えないといけないこと、長年住んできた土地から離れないといけないことから、即決はできないということでした。

【1】と【4】の折衷案として、半分売却、半分に賃貸併用住宅を建てるという案は現実的な選択肢となりそうです。

 

■まとめ

Kさん親子は、ずっと現在の住まいに住んでこられましたので、別の土地に転居するという発想はなかったかもしれません。今回、Kさんの財産評価をしてみると評価が高いエリアの土地であるだけに相続税もかかるのですが、同居の特例を生かすなどの方法により、まだ、節税の可能性があります。

それよりも今回のKさんのご希望は、将来の子どもたちの収入に対する不安だと言えます。このまま、3人とも収入を得る仕事ができなかったとすると、いずれ預金も底をつき、年金だけでは足りないという事態になります。

そうしたことになる前に、広すぎる自宅を土地活用し、安定的な収入を得られる道すじをつけておくことを提案しました。

Kさんは、方向性が整理できてよかったと。一人では決めきれないので、2人の娘とよく相談して、決めたいということで、検討してもらうようにしました。

 

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