事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
子供に財産はいつ渡す?自分のものは自分で。
◆自宅の他に不動産が7か所!どうすれば?
Nさんは70代。
いままでは子育てをしながら大学で教鞭を取る生活をしてこられ、
専門分野では書籍を出すほど活躍してこられました。
夫とは子供が小さいころに離婚し、息子と娘を育てながら、仕事もしてきました。
Nさんは、自宅の他に7つの不動産を所有しています。
これからどうすればいいかというのがご相談の内容でした。
当社の「図解 相続は生前の不動産対策で考えよう」(クロスメディアパブリッシング)を読んだ知人から紹介され、
事前対策の最適と思い、相談を受けることにしたと言います。
◆息子と娘
息子は海外で生活をしており、日本に戻ってくることはないと言います。
また、長男はいままでお金の苦労をしたことがないため、Nさんから見ると計画的な使い方ができておらず浪費家だと言えます。
長男がそういう風なので、日本にいる娘家族とは二世帯住宅を建てて、同居をスタートしました。
孫もいてにぎやかな生活には楽しみもあり、将来の不安もありません。
いずれ、家は娘に相続させようと考えています。
◆税理士は相続に詳しくない
Nさんは7つの不動産を賃貸しているので、確定申告を依頼している税理士からは、
資産管理運営の会社を設立したほうがよいと言われています。
7つの賃貸物件と現預金をそのままにしておくと、多額の相続税がかかることも税理士から指摘を受けています。
しかし、その税理士からはそれ以上の具体的なアドバイスがないため、相続には詳しくないのだと判断しています。
この機会に、相続に詳しい専門家も探したいということのようです。
今回、現在の資産状況から、会社を設立して不動産を会社に所有させたほうがいいのか、
個人名義の不動産を減らす方向がいいのか、またその方法と時期、会社作る場合は合同会社で不具合があるのか、
なども検討して方向性を決めたいということでした。
◆子供には財産をいつ渡す?
Nさんが所有する7つの不動産は、姉から相続したマンション以外は、自分で借り入れをして購入したものです。
マンションやアパートで、いまでこそ、借り入れはありませんが、いろいろな苦労もありました。
Nさん自身は、不動産が好きで楽しみながら持ってきましたが、果たして子供世代にそれを維持してくれるかは疑問。
だからこそ、苦労を知らない子供に、財産を残しすぎるのはよくないのではという思いもあります。
◆娘の世話になるつもりはない!
Nさんは、娘家族と同居しているとはいえ、体が不自由な状況になったときには、
娘や孫に面倒を見てもらいたいという気持ちはありません。
ケア付きの老人ホームに入るなり、自分のお金で不自由なく生活したいと考えています。
人生を楽しむ為に、有効にお金を使いたいたいのです。
相続実務士からのアドバイス
Nさんの財産評価をすると相続税がかかる内容です。また、課題や質問への回答を整理すると下記のとおりとなります。
①このままでは相続税がかかるので節税対策が必要になる
②賃貸物件の築年数が経っているので、新しいものに組み替えをしたほうがよい
③法人は子供に金融資産を先渡しする方法。法人の運営者も子供が妥当。
Nさんの場合、法人の運営者は娘が候補ですが、まだ子育てで余裕がないのと、
不動産に関する興味はないということで、適任とはいえません。
むしろ、Nさんが楽しみながら自分で賃貸経営ができるような形のまま、節税対策をする方法もあると言えます。
よって、Nさんにおススメしたい対策は、不動産の組み替えで、売却して、物件を新しくして維持しやすい立地や数にすることです。
また、不動産は娘にとなれば息子には金融資産が妥当だと言えますので、生命保険に入っておき、現金が渡せる準備が必要です。
この機会に「相続プラン」を作り、財産のバランスを確認して、贈与したり、組み替えたりした上で、遺言書まで作っておくことで争いも防げます。
いずれにしても、自分の財産は急いで子供に渡すことばかりが対策ではなく、最後まで自分で持ちながら、納得のできる活用をされることがいいでしょう。