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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

家なき子特例で相続税1360万円節税!所有でも社宅住まいで適用できる!

 

■母親が亡くなって相続手続きが必要

Sさん(50代・男性)が相談に来られました。母親が亡くなって、これから相続の手続きが必要になるので、アドバイスしてもらいたいということです。父親は10年前に亡くなっていますので、母親の相続人は長男のSさんと3人の妹の4人となります。

父親の相続では、遺言書があり、母親が全財産を相続するとなっていました。子どもたちもそれに異論はなく、手続きはスムーズに終えられたと言います。父親の財産は自宅と隣接する長女が住む家と預金で、1億5000万円。ちょうど配偶者の税額軽減の1億6000万円までは無税という特例を適用することができ、母親は相続税を払うことなく、手続きができたのでした。


■財産はきょうだいで等分にしたい

母親の財産は自宅の土地8000万円と隣接の長女が住む家の土地6500万円と預金や株など1億2700万円、葬儀費用200万円で合計2億7000万円となりました。相続税を計算すると3680万円。

財産は等分にして分けたいというのがSさんきょうだいの方針だといいます。財産を等分にして分けると1人5400万円となります。長女は自宅6500万円のみを相続し、差額1100万円は、多めに相続するため、代償金でSさんと妹に払うことで合意が得られました。

 

■実家を3人で共有する?

次にSさんと次女、三女の相続の仕方です。すべてを等分にとする場合、預金・株は解約して3等分にすることは可能です。次に実家も3人で共有することは可能ではありますが、一人暮らしをしていた母親が亡くなったいまは、空き家になっています。Sさんも仕事の関係で実家を離れて久しく、すでに自分で家を購入しています。次女、三女も夫や共有名義の家を持っている状況です。結果、だれも実家に戻って生活する見込みはないということになり、空家の実家は3人で売却して分けようと決まりました。

 

■自宅を所有していても家なき子特例が使える!

相続税申告のコーディネートを担当した当社と申告を担当する税理士で節税案を検討して検討しました。母親の財産は空き家の自宅と隣地の長女の家で、長女は親の家に住んでいる使用貸借ですので、節税の余地はありません。また、預金・株も亡くなった日の残高が財産の額ですので、節税の余地はありません。

唯一可能性があるのが、自宅の小規模宅地等の特例です。同居する子どもはいないため、次は自宅を所有することのない「家なき子」に該当するかという点になります。

確認すると3人とも、自分や配偶者が自宅を所有しているのですが、住んでいる次女、三女と違い、Sさんは自分の自宅に住んでいない状況だといいます。

どういうことかというと、上場企業に勤務するSさんは5年前から地方都市に勤務しており、家族とともに社宅住まいだといいます。自宅はたまに帰るときのために賃貸はしていない状況でした。税理士にも確認し、これで家なき子として小規模宅地等の特例が使えると判断できました。

 

■小規模宅地等の特例を最大限に生かす遺産分割協議を提案

実家を3人で等分にということが前提だとすると、実家を3人の共有名義にするとなりますが、これでは、小規模宅地等の特例はSさんしか使えないため、節税効果は3分の1になります。

そこで当社が提案したのは、小規模宅地等の特例を最大限に生かす遺産分割の仕方です。実家はSさんだ代表で相続し、売却後に、経費を引いた残りを3等分して現金を渡す「代償金」を払う方法です。

こうすることにより、家の名義はSさんだけですが、次女、三女にも公平に財産を分けることができます。


■特例により6000万円評価が下がり、相続税は1360万円下がる!

この方法で相続税を計算すると1人の税率は30%から20%になり、相続税は3680万円から、2320万円に下がります。結果、1360万円の節税ができるのです。

Sさんきょうだいはこの方法で合意され、遺産分割協議書が出来上がりました。実家がどれくらいの価格で売却できるかを相続税の申告期限までに査定して、実際の売却と大きな差異がないようにして、代償金の提案もしています。

母親が亡くなった後でも、相続税が節税でき、公平な分け方ができてよかったとSさんごきょうだいから喜んで頂いています。これから実家も売却して、実際に財産を分割する場面になりますが、引き続き、サポートしていきます。

 

■補足 小規模宅地等の特例とは?

 

小規模宅地等の特例」は、被相続人(亡くなった人)が住んでいた自宅の土地事業用の土地について、一定の要件を満たせば相続税の課税評価額を大幅に減額できる制度です。

  • 自宅の土地 → 最大 80% 減額
  • 事業用の土地 → 最大 50% 減額

 

この特例の適用により、相続税負担を大きく軽減できます。

 

「家なき子」の要件とは?

「家なき子」とは、被相続人の親族で、相続開始前の一定期間、自分や配偶者の所有する家に住んでいなかった人 のことを指します。

 

要件(令和4年度税制改正後)

「家なき子」として 小規模宅地等の特例を適用できる人 は、以下の要件をすべて満たす必要があります。

 

被相続人の親族であること(主に子・孫・兄弟姉妹など)
相続開始前3年以上、自分や配偶者が所有する家に住んでいないこと
相続税の申告期限まで引き続きその家に住み続けること
被相続人に配偶者や同居していた相続人(親族)がいないこと
過去に「家なき子」制度を利用して相続税の軽減を受けたことがないこと

 

「家なき子」の適用例

適用されるケース

 

  1. 親元を離れて賃貸住宅で生活
    • 亡くなった親が住んでいた自宅(持ち家)がある
    • 子は賃貸マンションに住んでいた(3年以上)
    • その家を相続して、相続税の申告期限まで住み続ける

→ 80%評価減が適用可能!

 

適用されないケース

  1. 自分または配偶者が家を持っている
    • たとえ賃貸に住んでいても、自分や配偶者が持ち家を所有している場合はNG
  2. 亡くなった親の家に同居していた相続人がいる
    • 例えば、兄が親と同居していた場合、家なき子の特例は使えない
  3. 相続税の申告期限までに売却・転居した
    • 申告期限(相続開始から10ヶ月)までに住んでいないと適用不可

 

「家なき子」の特例が厳しくなった背景

以前は「相続税対策のために家をあえて持たず、親の自宅を相続する」ことで税負担を軽くする人が増えました。

そのため、2018年(平成30年)と2022年(令和4年)の税制改正で条件が厳しくなりました。

 

まとめ

「家なき子」の特例は、持ち家を持たずに賃貸などで暮らしていた相続人が、亡くなった親の自宅を相続する場合に適用される減税措置 です。
ただし、現在は適用要件が厳しくなっているため、事前に確認しながら相続対策を進めることが重要です。

 

自宅を所有していても「家なき子」特例が適用できるケース

通常、「家なき子」の要件として 相続開始前3年以上、自分や配偶者が所有する家に住んでいないこと があります。

しかし、以下のようなケースでは、自宅を所有していても例外的に適用が認められることがあります。

 

自宅を賃貸に出していた場合(貸付用不動産)

✅ 自分が持ち家を所有していても、その家を 第三者に賃貸している場合 は、「自宅」とみなされず、「家なき子」特例の適用が可能。

ポイント

  • 相続開始時点で、実際に賃貸契約が結ばれていること
  • 自分や配偶者がその家に住める状況でないこと

 

📌

  • 5年前に購入したマンションを賃貸に出しており、自分はずっと賃貸アパート暮らし
  • 親の家を相続して、そのまま住み続ける

「家なき子」特例の適用が可能!

 

社宅・官舎・公務員住宅に住んでいた場合

会社の社宅や公務員住宅、官舎に住んでいた場合は「持ち家がある」とみなされない ため、「家なき子」特例の適用が可能。

ポイント

  • 社宅や官舎は「自己所有の住宅」とはみなされない(実際の居住権は会社や公的機関が持つ)
  • 相続開始前3年以上、社宅などに住んでいたことが条件

 

📌

  • 自宅を所有しているが、転勤で会社の社宅に5年以上住んでいた
  • 親が亡くなり、親の自宅を相続することになった
  • 会社の社宅を退去し、親の自宅に住み続ける

「家なき子」特例の適用が可能!

 

適用できないケース(注意点)

 

単に空き家にしていた場合はNG

  • 例えば「自分の持ち家があるが、長期間空き家にしていた」場合は、特例適用不可。
  • 「自宅を賃貸に出していた」ことが証明できないとダメ

 

単身赴任などで一時的に家を離れていた場合はNG

  • 単身赴任のために持ち家を離れた場合は、「持ち家がある」と判断されるため適用不可。
  • ただし、単身赴任期間中に家を貸していた場合は適用可能

 

まとめ

「家なき子」特例は、原則 持ち家がない人 だけが対象ですが、
自宅を賃貸に出している
社宅・官舎・公務員住宅に住んでいる
場合は、例外的に適用される可能性があります。
適用の可否は税務署の判断によるため、賃貸契約書や社宅入居証明などをしっかり準備することが重要 です。

 

 

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