事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
広い土地は売却。資産組替すればバランスが取れる!
◆二次相続対策で自宅は賃貸マンションに
Kさん(60代・女性)の母親は90歳。父親が亡くなったあと、
自宅を賃貸併用のマンションに建て替え、Kさん家族と同居してきました。
Kさんの妹は近くに嫁いでいて、姉妹の関係も良好です。
父親は幹線道路沿いにまとまった土地を所有する地主で、
父親の代から貸店舗として賃貸業をしていました。
父親の相続では貸店舗の1か所を売って相続税を払うしかなかったため、その後、
母親の二次相続の節税対策に取り組み、自宅を賃貸併用のマンションにしたということです。
母親は90歳となり、元気ながらも、相続のことを想定しておきたいと
Kさんと妹の2人で、相談に来られました。
◆対策後でも相続税4000万円
母親の財産は、自宅マンションと貸店舗の2カ所、現金は5000万円です。
自宅の土地350坪には、5階建ての自宅兼賃貸マンションが建っており、
建築費の借入が2.5億円残っています。
家賃が200万円入りますが、管理費10万円、返済が130万円で、手取りは60万円です。
貸店舗は1000坪あり、ファミリーレストランに貸しています。建物は築25年の
鉄骨造で、もう借入はありません。毎月100万円の家賃が入っています。
相続税のクイック診断をしてみると相続税が4000万円ほどかかると試算されました。
◆不動産の価値が違いすぎる
それだけでなく、一番の問題はふたつの不動産の違いが大きすぎることです。
2つの不動産をひとつずつ分けようとすると、自宅は住んでいる長女が相続する
となり、借り入れも引き受けると正味財産はマイナス1億円となります。
妹が貸店舗を相続すると、負債なしで2億5000万円の財産となります。
2つの不動産と負債を長女が相続すると1億4000万円で、
次女に現金5000万円としても、バランスはうまくありません。
母親の希望は姉妹にほぼ等分に分けてあげたいということなので、
どうしていいかわからないということも相談したことだといいます。
◆貸店舗は売却、評価が下がる区分マンションに
そこで、土地が大きすぎる貸店舗を売却し、
区分マンションに買い替えることをアドバイスしました。
貸店舗の土地が大きすぎるため評価が高いのですが、
一体で使っているため分けにくいのが現状です。
幹線道路だけに店舗立地で、住宅地としては不適です。
現状では貸店舗として維持するのが最適ながら、分割には課題があるのです。
よって、現在の賃借人に買い受けてもらい、
次は区分マンションを購入すれば評価が下がり、相続税の納税は不要になります。
こうして土地が広い貸店舗から、建物の方が評価が高い区分マンションに
買い換えることで節税になり、分けやすくなることを説明しました。
母親に話すと理解が得られ、すぐに決断をされました。相続税もかからなくなり、
固定資産税も半分以下になり、大きな不安は解消できそうです。
相続コーディネート実務士から
土地は代々守り、次世代へ継がせるものだというのが
いままでの資産家のあり方でしたが、それでは税金は減らせません。
形を変えて、財産を守ることにシフトしなければいけない時代になりました。