事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
日本国内に、所有する家がなければ“家なき子” 小規模宅地等の特例が使える!
◆子どもは娘ひとり
Mさん(70代・男性)は夫婦、ふたり暮らしをしています。一人娘はすでに嫁ぎ、夫の転勤のために現在は海外で生活をしているといいます。
娘には子どもが2人もいるので、日本に帰ってくることを期待しているということですが、娘の夫の仕事は安定しており、現在のキャリアを生かして海外で独立する予定で、当分は日本に帰って生活をする予定はなさそうだといいます。
◆相続対策
Mさんは60歳で定年となり、その後数年は嘱託として仕事をしていましたが、今は完全リタイヤしています。毎年、夫婦で海外旅行に行くなど悠々自適の生活をしています。
Mさんの財産は1億円相当の50坪の自宅の土地建物と預金、有価証券1億円で合わせて2億円です。
一次相続であれば、配偶者の特例を適用できるので相続税の負担は少ないのですが、娘に渡す時が大変だと気が付き、対策をしたいというのがご相談の内容です。
◆家も購入するが小規模宅地等の特例は?
海外生活が長くなった娘夫婦は、孫の教育のためにも、近いうちに家を購入する予定だといいます。
娘夫婦が米国で自宅を購入する際には3000万円程度の資金援助をしようと思っているということで、この方法でいいのだろうかということもご相談の内容でした。
さらにMさんは娘に自宅を相続させるときに、小規模宅地等の特例を使えるようにしておけるだろうか?ということも確認しておきたいということです。
Mさんが国税局に問い合わせたところ、すぐに回答ができないことが多く、使えるのか、使えないのか、わからないというのです。
◆海外の自宅は家なき子となる
そこで当社でも国税局、税務署の両方に問い合わせてみました。
小規模宅地等の特例の条件は、現在の法律では、「日本国内」において娘や娘の配偶者が自宅を購入してしまえば「家なき子」の要件を満たさなくなり特例は適用できなくなってしまいますが、海外の住宅に関しては、娘本人が所有しない限り、娘婿(夫)が購入した家に娘が居住する場合は「家なき子」の要件を満たしていることになり、小規模宅地等の特例が適用できるということが確認できました。
すなわち、次の4つの条件を満たせば「家なき子」としての要件を満たし、小規模宅地の特例が認められ、特定居住用宅地の80%減額が認められることになります。
1.被相続人に配偶者も同居親族もいない。
2.相続人が、相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがない。
3.相続した宅地等を相続税の申告期限まで有している。
4.相続開始の時に、相続人が日本国内に住所を有している、或いは日本国籍を有している。
Mさんに改めて説明すると安心したと喜んでおられました。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒娘は将来の相続に向けて、小規模宅地等の特例を生かせるようにするため、家を所有しないようにする。
●注意ポイント⇒相続時精算課税制度で贈与を受けた現金は自宅の購入資金にしないよう、
別の使い道をするように気を付ける。
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