事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
旗竿地が他人との共有名義。無道路だと建て替えできない
◆戸建て住宅を購入
Мさん(70代男性)は自宅の他に40年以上前に中古の戸建て住宅を購入しています。当時、まだ30代でしたが、幸い、頭金程度の預金があり、残りは融資を受けることができたのです。すでにそのローンは返済が終わっています。
その家は、家賃が月額10万円入る貸家としていましたので、仕事をリタイヤしたあとの年金の補填として安定収入となっています。
◆建て替え出来ない
Мさんの住宅はもより駅から20分と距離はありますが、都心に出やすい立地ですので、ずっと入居者があり、賃貸経営は安定しています。けれども建物の築年数が経ち、すでに50年ほどになります。
外観からも老朽化が感じられるようで、今の入居者が退去すると、次の入居者が見つからないかもしれません。そこでそろそろ建て直しを考えたいと思い、建築会社に相談しました。そこで分かったことは、建て直しかできない土地だというのです。
Мさんは弁護士に相談してなんとか解決したいと動いてみたのですが、自分たちには手に負えないと言われてしまい、どうしたらいいかと相談に来られたのです。
◆入り口部分が共有
Мさんが持参された関係資料を整理すると、Мさんの土地は入り口部分の土地と奥の土地の2筆に分かれていました。いわゆる敷地延長の地形ですが、入り口部分が11名もの他人と共有名義になっています。よってМさんの土地は道路がない袋地となります。
公道に面した土地の幅員が2m以上ないと建物が建てられないため、現状では建て替えができないということも確認できました。
建てるには公道に面した土地の共有者から承諾を得るか、Мさん名義にまとめて敷地延長の宅地にするかのいずれかの選択肢になります。また、このまま、不動産会社などに売却してしまうことも選択肢でしょう。
◆自分名義にしたい
Мさんの意思を確認すると買い取り費用などがかかっても入り口部分の土地を自分の名義にして建て替えができる土地にしたいと言われました。建て替えができると貸家としてあらたな需要が見込めるので売りたくないというのです。
◆共有者に理解を得る
Мさんの希望を叶えるべく、入り口土地の共有者に状況を説明し、理解をえることになりました。その土地の地目は公衆用道路になっており、固定資産税はかかりません。共有者に負担はないのですが、所有するメリットもありません。
よって権利分を譲渡してもらうべく、11名の方に説明をしたところ、ほとんどの方が理解を示してくださり、手続きに協力してもよいとなりました。全員の意思確認をするにはもう少し時間がかかりますが、目途がつけられそうです。
この手続きが進み、Мさん名義の土地になるとようやく建て替えができるということになります。
◆購入時に確認を
Мさんが購入された40年前、契約時にこうした状況を確認しておくべきだと言えます。現在では仲介会社がこうした権利関係を確認して取引が行われますので、トラブルはないと言えますが、当時はそうした意識が不足していたのかもしれません。
こうしたつけが回ってきたということですので、契約時の確認が重要になります。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
共有者の持ち分を譲渡してもらう
公道に面した土地を自分の名義にして建て替え出来る土地にする
●注意ポイント
敷地延長の地形でも、権利関係が共有では全員の承諾が必要になります。他人との共有は絶対に避けるべく、確認して購入するようにしましょう。
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