事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
最初の相続で共有。あとから分けるには税金がかかる!
◆父親の相続で4人が共有
Nさん(70代・女性)は母親が亡くなり、兄と亡弟の子とで相続の手続きをすることになりました。
父親が亡くなった10年前に、自宅の敷地を母親と子供三人で共有しており、
今回、手続きが複雑だと相談にこられました。
母親と次男家族が住む家が角地にあり、約80坪。真ん中に長女の娘家族が住む家があり、
約50坪、左角には長男家族が住む家があり、約50坪。母親と3家族が住む土地です。
それぞれの利用に応じてブロック塀で区切ってありますが、土地の登記簿は、180坪の
ひとつの土地のままで、全体が4人の共有になっています。
◆相続手続きだけでは終わらない
母親の財産は自宅の土地の半分と預金で、相続税の申告が必要です。自宅の部分につき、
同居する亡次男の子供たちが相続すれば、小規模宅地の特例が適用できます。
そうすると相続税は700万円程度となり、残された預金から払うことができるので、
納税の心配はありません。
問題は、母親の相続手続きを終えたとしても、土地が一筆で全体の共有となっているため、
それだけでは終わらせると、問題が残るということです。
長男が住む家の土地に、亡次男の子供たちと長女名義が登記されることになりますし、
そもそも、利用に合わせて分けられていないため、全体が共有財産のままで、自由に
することができません。
◆共有を解消しないと価値半減
そこで相続手続きと合わせて、それぞれの利用に合わせて、亡次男の子供たちが80坪、
長男が50坪、長女が50坪と単独になるようにする必要があります。
まずは相続し、それぞれの利用に合わせて土地を分筆し、さらに共有を解消するように
等価交換して名義を寄せていく手続きをしないといけません。
父親が亡くなった時、すでに現状の利用をしていたのですから、本来は分筆して、
母親とそれぞれの子供が共有する形で相続税を軽減し、二次相続で母親の名義を、
それぞれが入り組まない形で相続するとしておくべきでした。
◆余分な費用がかかる
ところが、分筆せずに、全体を共有していたばかりに、共有解消の等価交換が必要となり、
分筆、交換登記に余分な費用がかかることになってしまいました。ほぼ等価で交換できる
ことで、交換差益の譲渡税はかかりませんが、登記費用が200万円以上も余分にかかり、
他に測量、分筆などの費用がかかります。
先を見越して一次相続で手続きをしておけばかからない費用だといえます。Nさんたちも
今回は共有解消をすると決断をされて手続きが進められています。
相続コーディネート実務士から
一次相続で分筆し、二次相続の伏線となる親子間の共有だけにしておけば、余計な
費用もかからずに済んだとろこです。最初の見極めに相続の専門家のアドバイスが不可欠だと言えます。
きょうだいの共有解消は先送りせずに、手続きをしてしまうお薦めをしています。