事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
母親の相続。申告期限2ヶ月前に税務署からご案内が届いた!どうすれば?
■独身の長女が両親と同居して、介護してきた
Kさん(50代女性)が相談に来られました。昨年、母親が亡くなり、弟と二人で相続手続きをしなければならないといいます。
Kさんは独身で、ずっと両親と同居をしてきました。3つ下の弟は結婚を機に別世帯となり、現在は子ども2人にも恵まれて、自分で家を購入して生活をしています。
さきに父親が78歳で亡くなり、その10年後、母親が85歳で亡くなりました。その間、同居するKさんが面倒を看てきたと言います。
■父親の財産は母親に
父親が亡くなった時、母親はまだ70代半ばでしたので、父親の財産はすべて母親が相続するようにしました。Kさんも弟も仕事をしていますので、別に困らない状況でした。母親は専業主婦ですので、家や老後の資金は必要だという判断でもありました。
父親が亡くなった当時は相続税の基礎控除の改正前でしたので、5000万円+相続人1人につき1000万円が基礎控除額で、8000万円の財産までは相続税はかかりませんでした。
父親の財産は、評価が3000万円の自宅と預金2000万円ですので、税務署には申告も、納税も不要でした。
母親に財産を移すため、遺産分割協議書を作成して、不動産や預金の名義替えの手続きを済ませたのでした。
■母親が亡くなってから8か月後に税務署からご案内が届いた!
母親が亡くなり、預金を確認すると400万円程。生命保険の死亡保険金は500万円おりましたが、非課税の範囲内です。父親の相続のときは基礎控除以内で済んだことから、Kさんは今回も相続税はかからず、相続税の申告も不要だと判断していました。
ところが、母親が亡くなってから8カ月を過ぎたとき、税務署から「相続税申告のご案内」という封書が送られてきたのです。
父親のときと同様に、税務署には何もしなくていいと思っていたKさんは、驚いて、弟と二人で相談に来られたというわけです。
■税務署からのご案内の通知はいつ頃届いて、どういう内容?
●「相続税についてのご案内」は、相続発生後、6~8か月頃に送られてくる
「相続税についてのお尋ね」は、相続発生後、6~8か月過ぎた頃に、税務署から封書で送られてきます。
封筒の中には「相続税の申告要否検討表」という用紙が入っていて、これに必要事項を書いて税務署に返送します。
場合によっては「相続税の確定申告書」が入っていることもあります。Kさんの場合は、「相続税の確定申告書」の用紙が入っていました。
●「相続についてのご案内」はなぜ送られてくるのか?
税務署から送られる「相続税についてのご案内」は、亡くなった人の財産の内容を確認して、相続税の申告を促す目的があるとされています。
人が亡くなったときは市区町村役場に死亡届を提出しますので、この情報は税務署にも通知されます。(相続税法58条)。
よって、税務署は、この情報をもとに、亡くなった人について過去の確定申告書や固定資産課税台帳、さらに保険会社から提出される保険金の支払調書などから財産がどれぐらいあるかを調べます。
その結果、亡くなった人の全員に通知を出すのではなく、一定以上の財産があると見込まれる場合に「ご案内」が送られます。
●過去に確定申告をしていた場合は通知が送られてくることが多い
一定の収入があり、毎年の確定申告をしているような場合は、税務署も不動産や金融資産などの財産の内容を把握していることから、相続税がかかる財産だと認識していることがあります。
Kさんの母親は、父親から財産を相続しており、毎年の確定申告をしていた経緯があります。父親の財産は自宅と預金で基礎控除の範囲内ではありましたが、父親が自営業で確定申告をしてきていました。自宅の1階の半分で加工業を営んでいたのです。父親が亡くなった後は廃業しましたが、そのあとを貸工場として、賃貸しており、母親は家賃収入を得て生活していました。よって母親もずっと確定申告をしてきたということです。
■基礎控除ぎりぎりの財産の場合はどうする?
母親の財産は預金400万円、生命保険は非課税枠内の500万円です。基礎控除は4200万円ですので、不動産評価が3800万円を超える場合は相続税の申告が必要となります。
路線価評価をするとほぼ3800万円で、ほんとうに基礎控除の範囲、ぎりぎりのところ。葬儀費用などを引くと基礎控除の範囲内となります。
そこで、まずは当社で相続プランの委託を頂き、業務提携先の税理士とも相談をしてどのようにするのがよいか、方針を出すことにしました。
遺産分割については、自宅は住んでいるKさんが相続、預金と保険は二人で等分にするということで合意ができているといいます。
■基礎控除以内でも税務署に申告ができる
税理士に依頼をして、不動産評価をしてもらい、金融資産などの残高を足して、財産目録を作成してもらったところ、不動産評価は不整形などを考慮して3500万円となり、預金や金融資産をプラス、葬儀費用などを差し引くと、3850万円の財産だとなりました。
基礎控除内だということが確認でき、相続税の申告も不要ではありますが、Kさんは税務署からのご案内がきたことが不安だということで、税務署に相続税の申告書を作成して、提出しておきたいとなり、税理士に引き受けてもらうことにしました。そうすることで、ご案内にあった質問の回答になり、相続税の納税は不要だという証明になります。
■申告期限の1週間前に遺産分割、期限内に提出できた
税務署から「相続税についてのご案内」が送られてきたのが母親が亡くなってから8ヶ月過ぎ。夢相続に相談に来られたのが期限の1か月半前。
時間がないところでしたが、Kさんは、母親や自分たちの戸籍関係も取得しておられ、銀行の残高証明書や不動産の固定資産税通知など、必要な書類はほぼ、揃っていましたので、すぐに評価にかかることができました。
遺言書はありませんでしたが、Kさんと弟で分割案も話し合っておられたので、遺産分割協議書の作成もスムーズにでき、業務提携先の税理士に早々に評価、書類作成をして頂くことができましたので、税務署への申告もが期限内に済ませることができました。
通常は申告期限まで1か月半というと、税理士法人では受けないところもあり、間に合わないこともあろうかと思います。
夢相続では亡くなったあとのコーディネートすることも多く、相続後の手続きには慣れていて、業務提携先の税理士とも連携が取れていることから、引き受けさせて頂いています。
今回のKさんも間に合ってよかった、税務署にもきちんと申告できて、安心したとほっとされていました。
それでも、時間があるに越したことはありません。相続になったら、まずは専門家に相談されて、判断を仰いでおけば慌てなくて済みますので、ご相談ください。
最初のご相談は無料です。
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