事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
民事信託?後見支援信託?不動産信託?30物件、10社回った結論は?
◆70坪の自宅土地
Мさん(60代男性)は今年70歳。妻とは死別、両親と娘とで暮らしてきました。両親も亡くなり、娘も30歳になり、昨年結婚して、Мさんはいよいよひとり暮らしになられたのです。
老後、娘の世話になるつもりもないので、仕事をリタイヤしてからは、近い将来、有料老人ホームに住替えるつもりで20か所ほどは見学してきたと言います。住替え先を探すことも必要ですが、そうなると空家になる自宅をどうするかも考えたいと、いろいろなセミナーに参加し、相談しているということで、私のon-lineセミナーにも参加されて、その後、面談相談に来られたのです。
◆後見支援信託?不動産信託?30物件、10社回った結論は?
几帳面なМさんは、会社をリタイアして時間ができたこともあり、いろいろな情報を集めてこられたようで、いままでの総集編となる資料も持参されていました。自分の老後を考えると信託銀行の後見支援信託がいいのか?土地活用も不動産信託をした方がいいのか?法人を作ったほうがいいのか?法人は一般社団がいいのか?などなど。
土地活用する場合に建ててもらう建築会社も10社以上on-lineミーティングなどして情報を集めてきたと言います。信託銀行は預金があるので相談してきたと言われました。
そうした大量の資料の中で、果たしてどういう選択をしていいのかわからない状態でした。
◆賃貸事業
Мさんも娘さんも賃貸事業には関心がなく、これから本腰を入れて賃貸事業に取り組むつもりはないと言います。
自宅の土地には愛着はあるものの、Мさんはいずれ住替え予定で、娘さんも嫁いで別のところに住んでいるので、どうしても残さなくてはとも考えていないと言います。
◆民事信託や後見人はいつ必要?
民事信託や後見人は認知症になった人の財産を管理する制度です。認知症になる前、契約できる意思確認をし、スタートしますが、財産は預けるのです。不動産も預金も自分の手元から離れるわけで、元気で慎重派のМさんにはまだ不要だと言えます。
不動産信託の説明も聞いたといいますが、他社に任せないとできないほどの規模ではないので、それも当てはまらないしょう。
また、法人が必要になるのは妻や子どもなど親族が複数名いて家賃収入の一部を役員報酬として分配する場合で、娘がひとりでは法人を活用するメリットは少ないと言えます。法人にしたほうがいいとされる賃料は年間1000万円以上ですので、それも超えないかもしれません。
◆無理なく、シンプルに
Мさんの自宅の土地は最寄りから近く評価も高いので相続税の対象にはなるのですが、賃貸事業をせずに空家になったときに売却して手間がかからない区分マンションに買い替えるなどすれば節税対策はできます。
いまから建築費の借入をして30年以上の返済をしながら、気乗りしない賃貸事業をするよりも、無理のない方法を選択されることのほうがいいとアドバイスしました。
それでもどの方法がいいのかは、絞り込んで、比較して決めるように相続プランを作ることをお勧めしました。
あまりの情報過多では絞り切れずとなりますので、必要なものだけ残すプランをご提案していきたいと思います。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
必要な対策を絞って検討する
●注意ポイント
民事信託も後見人も管理を任せるという意味では本人の負担は減らせますが、まだ元気な人にとっては選択肢でないこともあります。あれもこれもとなるよりは慎重に選択しましょう。
最初のご相談は無料です。
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