事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
父親が用意していた相続プランが子どもたちの手引書になる!
■父親が亡くなったというお知らせの電話
Мさん(60代・男性)が電話がありました。電話の内容はこうでした。
「父親が亡くなって、現在、葬儀の手配中。生前、父親とはあまり話ができていないが、夢相続で相続の準備をしたので、自分が亡くなったら夢相続へ連絡するように言われていたので、お知らせします。」
Мさんの父親(90代)は亡くなったばかりで、これから通夜と告別式を執り行うため、葬儀会社と打ち合わせしていると言います。
当社のデータを確認するとМさんのお父さんはハウスメーカー主催のセミナーに参加されたことがきっかけで、知ってもらい、夢相続へ相談に来られています。セミナー会場では一方的に聞いて頂いただけでしたが、その後の個別相談で、私もお会いして、ご相談に対応している方でした。
■相続プランを作成 不動産は全部、評価していた
無料相談は予約制にしており、事前に相談カードにて住所、お名前などの個人情報をお知らせ頂くだけでなく、家系図を書いて頂き、相続人を確認します。それだけでなく、不動産、金融資産もお知らせ頂いて、全財産を評価し、相続税の概算も出して説明します。不動産の確認のためには、面積や評価が記載されている固定資産税通知を持参頂くようにしています。
そして、財産相談したいことや不安に思っていることも書いて頂くので、当日は60分の中で、効率よく課題を確認、アドバイス、ご提案できるようにしています。
Мさんの父親も固定資産税通知を持参のうえ、相談に来られたのでした。
■妻が亡くなって、配偶者の特例が使えない!
Мさんの父親は東京まで2時間以上かかる地方都市にお住まいです。不動産が多く、賃貸事業もされているので、そもそも相続税がかかる認識ではあるものの、相談に来られた一番の理由は、前年、70代の妻が亡くなったということでした。
父親は、配偶者は半分無税、あるいは1億6000万円まで無税という特例があることを知っていましたので、ぼんやりと妻がいれば相続税はそんなにかからないと思っていたところ、意に反して妻が先に亡くなってしまい、なんとかしなくてはと思ったといいます。
■財産は2億円以上 不動産が多い、相続税もかかる
Мさんの父親は相談に来られた当日、有料の相続プランの委託をされました。その後、財産を確認し、評価し、課題解決のための「オーダーメード相続プラン」の提案書を作成して、ご説明しています。
8年前のことですが、当時のデータはそのまま保存していますので、すぐに確認することができました。
父親の財産は不動産が26か所あり、賃貸アパートもあり、貸店舗や貸宅地があり、土地、建物で1億8000万円、預金6000万円、有価証券3500万円、アパート建築の借入が5000万円、総資産は2億2500万円と確認できました。
相続人は長男のМさんはじめ、妹2人、弟1人の4人。基礎控除は5400万円、相続税は2620万円となりました。
■問題点のある不動産が多い(番号は土地明細と符合)
26か所の不動産の中には問題を抱えているものがあり、下記の指摘をしています。
①自宅:自宅・店舗 ・次男に相続させるには大きすぎる ・長女が相続しても次男が住んでいるため将来的に権利関係が複雑化する要因になる ・敷地面積400坪以上と広いが、間口が狭く、間口部分に店舗があるため、分割や活用が困難
④土地:行政に無償で貸している→固定資産税分だけマイナス収支
⑨長屋(賃貸住宅)・土地建物ともに所有物で長屋として賃貸 ・建物登記が存在しない、名寄帳にも載っていない→権利関係が不明瞭
⑩貸宅地(○○様)・地型が悪く複雑な形状で、活用不可能・現地を確認しても正確な場所が不明 ・地代が安くマイナス収支
⑪土地:・接道していないため活用不可能(再建築不可)・固定資産税分だけマイナス収支
⑫土地:・草木が伸び放題で荒れている・固定資産税分だけマイナス収支 ・南側隣接地が土葬の墓地
⑬土地:・正確な場所が不明・地積が狭く、地型が悪いため活用不可能 ・固定資産税分だけマイナス収支
⑭土地:・接道がなく活用不可能(再建築不可)・固定資産税分だけマイナス収支
⑰貸宅地(○○様)・現地確認の結果、廃屋になっている・借地人が亡くなっており、借地人が不明 →地代が滞りマイナス収支になる可能性、権利が複雑化する可能性
⑱土地:・草木が伸び放題で荒れている・固定資産税分だけマイナス収支
㉙土地・公図が存在せず、行政も把握していない・固都税は免除のため収支はプラスマイナス
父親は提案により、課題のある不動産の問題解決をしながら、プラスにならない不動産については、処分していくことを決断され、地元の不動産会社に依頼をして少しずつ整理をしていくと話をされていました。
■生前の対策と分割案の提案
相続プランでは分割案も検証して提案しています。4人の子どものうち、地元に住んでいるのは長女と次男、長男であるМさんと妹は地元を離れています。
そうした現状もあり、父親も4人の子どもにどのように相続されるのがいいか、決めきれないということで、4つのパターンを想定して、分割案の提案をしました。
分割案検証に当たっての前提条件
1、自宅は長女が相続 理由:次男様に相続させるには広大=維持できない可能性 長男は別宅を構えており、戻らないと推測 次女は嫁いでおり、真岡市から離れている ⇒長女が事業継承して現地を活用しているため相続人に最適と判断
2、次女は不動産を相続しない 理由:真岡市から離れており、実質的に管理が困難になる可能性が高い
3、次男は安定的な不動産収入があるものを相続 理由:生活資金を確保するため
4、不動産売却する場合はいくつかまとめて 理由:再建築不可やマイナス収支、調整区域の不動産だけを売却は困難 →活用できる不動産も一部含めて売却することで整理可能に
5、評価額と実勢(売却)価格は違う 理由:都心は 評価額<実勢価格、 地方は 評価額>実勢価格 ⇒売却した方が財産が縮小する。
総 論
1、権利関係が不明瞭な不動産 ⇒権利関係の明確化or 売却
2、マイナス収支の不動産 ⇒活用してプラス収支に変えるor 売却
3、ご自宅(及び店舗)の継承先 ⇒ご長女様に引継がれるのが最良 ※店舗はご長女様が使われるので、 権利関係の複雑化を避けるため
■相続後にすることの手引書も作成 用意した価値
父親には分割案を決めて、遺言書を作成することを提案していました。また、相続後に子どもたちが右往左往しないように、手続きの順や、用意する書類などをあげて手引書となる書類も夢相続で作成して、お渡ししていました。
父親は母親が亡くなった後は一人暮らしとなり、その後は高齢者住宅に住みかえたことやおりしもコロナの時期となり、その後の対策や遺言書の作成はできずに亡くなりました。
けれども、当時、作成して相続プランや相続の手引書があり、今回、あらためてМさんやごきょうだいに渡すことができましたので、慌てることなく、財産の全体像も確認でき、相続手続きのイメージも作れたとМさんも言っておられます。
父親の財産は8年前とはそれほど変わっておらず、課題があった不動産のいくつかの処分ができていて、現金が増え、それでもほとんど同程度の財産です。相続税は2300万円ほどと予測されますが、預金で払える見込みです。
残る課題は分割方法と不動産の維持の仕方です。これからいくつかのパターンを作り、提案して決めて頂くようになります。
父親は亡くなったのですが、8年前の資料や父親の思いが残されており、それをベースとして相続人の子どもたちと共有することができています。そして、父親が「自分が亡くなったら夢相続に連絡するように」と伝えて頂いていたことで、父親の思いやいままで準備した資料を生かすことができ、相続プランの価値があると感じています。
最初のご相談は無料です。
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