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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

父親の代わりに相続・不動産対策は遺言書+民事信託で進める

■代々の土地を守る地主

Nさん(50代男性)が最初にセミナーに参加されたのは5年前のことです。Nさんの父親は長男で11代目の跡取り。祖父が早く亡くなったため、50年前に土地を相続して、N家の代々の土地を守ってこられたといいます。その父親は80代後半。母親が先に亡くなってしまい、同じ敷地の別棟で暮らすNさん家族が面倒を看てきました。

これから父親の相続を迎えるにあたり、どうすればいいかというご相談がありました。

 

■相続プラン

父親の財産を確認し、相続税の試算もし、どういう課題があり、どういう対策が考えられるかをシュミレーションすることで相続の準備ができます。夢相続では「相続プラン」を作成して、対策のご提案、サポートをしていますので、Nさんにもそうしたプランをお勧めしました。

「相続プラン」は有料のコンサルティングになるため、父親の理解を得て、コンサルフィーも父親のお金で支払う必要があります。Nさんは早速、父親に説明し、もう一人の相続人の弟とも情報共有し、2人の合意を得ることができたと連絡がありました。

「相続プラン」には委託書に父親のサインが必要で、それも直筆で書いてもらい、プランニングにとりかかりました。

 

■不動産が大部分の財産

父親が祖父から相続したとき、自宅まわりに畑があり、1町歩(3000坪)ほども土地があったといいます。それが30年ほど前に市の計画で、土地区画整理事業がはじまったのです。N家の土地は全部、区画整理地内にあったため、道路に提供し、自宅を移設するなどして、結果的にはもとの半分程度の面積に減りましたが、敷地の真ん中を幹線道路が通り、価値は数倍以上になったといえます。

父親の土地は自宅800坪、隣接の土地100坪、向かいの土地600坪として3か所のまとまった土地として残ったのです。

 

■自宅の建て替えが必要

区画整理事業の前は道路も狭く、広い畑だったのが、真ん中は12メートルの幹線道路が通り、自宅と向かい側は店舗ができる土地となりました。それでも自宅の建物は建て替えが必要でしたので、100坪の土地を売却するなどして建て替え費用を捻出して、住み替えをしています。

また、向かいの600坪の土地はファミリーレストランから借りたいという申し出であり、区画整理された事業地内では、一番早く、店舗に貸したということです。20年の契約でスタートしていますが、更新して、現在も店舗として賃貸しています。毎月の家賃は安定的に入ってきますが、コロナや競合店の出店などの影響があり、借主より値引き交渉があったため、当初の賃料の80%に減額していると言います。

 

■父親の財産は2億7000万円 95%が不動産

父親の不動産評価をし、金融資産も合わせると2億7000万円となり、相続税は5800万円と試算されました。財産の内訳は土地が85%、建物が8パーセント、預金が7パーセント。相続税5800万円は財産の21%。このままでは相続税が払えないのは明らかです。

そこで相続プランでご提案したのは、資産組替です。800坪の広い自宅を売却し、住替えることです。現在は800坪の中央に建物が建っていますので、自宅の敷地の一部だけを売却することがしにくい現状となっています。自宅を建てる当初は800坪の自宅の敷地の全体を自宅として使う発想しかなかったと言えますので、中央にどんと建てる選択だったのでしょう。

しかし、自宅の小規模宅地等の特例が活かせるのは100坪のみ。それを超える自宅はすでに一般的ではないと言えます。

 

■父親がうんと言わなかった

Nさんの父親の課題は明白で、自宅の敷地が広く、それだけで1億7000万円程。その敷地を自宅とNさん家族が住む2棟の建物があるだけという利用が効率的ではないということです。そのため、小規模宅地等の特例を適用しても相続税は600万円程減額されるだけで、5200万円ほどの相続税の負担が必要だとなりました。

さらに預金は7%で1800万円程。とても相続税には足りません。ファミリーレストランの賃料があるので、20年の分割払いの延納も選択肢ではありますが、それでは生活費が足りなくなります。

結果、自宅の土地を売却して、節税する必要があるとなります。相続プランでは、自宅の土地を売却、住みかえ、賃貸物件も購入する提案をしていますが、当時のお父さんは決断がつかず、そのまま5年が経過しました。

 

■父親が老人ホームへ入居

昨年のこと、父親が自宅内で転倒して救急車で運ばれることがあり、入院されたと報告がありました。リハビリをしてかなり回復されたものの、段差のある自宅での生活は難しいとなり、医者の勧めで近くの介護施設に入所されたのです。そうなる母屋は空き家。それだけでなく、老人ホームの月々の利用料もかかってくるため、いよいよ資金的に心細くなってきたのです。

父親にも状況を説明し、土地を売却するしかないということには理解を得られたのです。いよいよ「相続プ゜ラン」で提案していた対策を実行するときですが、この間、父親は90歳を超えて、今度は認知が気になるといいます。自分のこだわりには会話が弾むが、財産のことになるとすらすら説明ができるか、不安だと言います。しかし、これから不動産の売却、購入となると時間もかかるため、Nさんが窓口になり手続きできるよう、民事信託契約をすることを提案しました。合わせて、弟さんとNさんへの分け方も決めてもらい、遺言書も作成するようにします。

 

■公正証書遺言+民事信託契約

Nさんと弟が父親の部屋を訪ねて、財産の分け方を決めて、公正証書遺言を作ることも決断してもらったといいます。合わせて、主に不動産の管理をNさんが引き受けることも説明して、民事信託契約についても父親の理解を得たと言います。

公正証書遺言の証人や段取りは夢相続で担当し、民事信託契約は提携先の司法書士が主となり公証役場と打ち合わせをして進めました。

信託口座をつくる金融機関の承認に一番時間がかかりましたが、ようやく半年後に公正証書遺言と、民事信託契約が同日、出来上がりました。公証人と夢相続の証人2人がさきに公正証書遺言の作成をサポート、次に公証人と司法書士が民事信託契約を担当、さらに信託口座を開設する金融機関が父親のサインをもらって手続きが完了しました。

 

■不動産の売却へ

公正証書遺言と民事信託契約の内容が固まったことで、父親の相続税の節税と収入を増やすため、広すぎる自宅を売却し、住替え、賃貸物件の購入、相続税の節税というプランができており、土地の購入希望者も出てきたため、まずは売却を進められるようになります。それには不動産が父親の名義から、信託の名目で管理する受託者のNさん名義にする必要があり、現在は登記中です。

自宅不動産の売却が進めば、自宅の購入原資ができます。それ以外は賃貸物件を購入して評価を下げることで、5800万円の相続税は1000万円以下にすることができます。そうしたプランのもとに少しずつ対策を進め、相続税を節税しながら、現金不足を解消するように進めていきます。

 

■まとめ 5年かけてようやく進み始めた

Nさんが最初にセミナーに参加されてから5年が経過しましたが、お父さんの年齢が上がり、認知手前の状況にもなられたので、ようやく進め始めたと言えます。相続対策はすぐにはじめて頂きたいところですが、タイミングが来るまで根気よく取り組む必要があります。Nさんの父親も遺言書や民事信託契約をこなされて、ようやくほっとされたようで、すっきりされていました。これから100歳までの時代。いつ相続になっても対応できるので安心できる形になり、Nさんと弟さんもほっとされています。

 

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