事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
独身の妹とアパート共有-足並みが揃わずストレスになる
◆父親の相続で不動産は共有に
Nさん(60代・女性)が相談に来られました。昨年、90代の母親が亡くなり、妹(60代)と二人で相続手続きをしないといけないということです。
父親が亡くなった10年前、申告を依頼した税理士から不動産は法定割合で相続するものだとアドバイスをされ、自宅、アパート4棟、駐車場を、法定割合で共有しています。今度はどうすればいいかということがご相談の内容でした。
◆妹は独身、姉に任せきり
60代の妹はずっと実家住まいで仕事をしており、両親と同居してきました。母親と二人暮らしになった時も、今も、仕事は続けています。
そうしたことから専業主婦のNさんが母親の介護やアパート、駐車場の管理などをしており、任せきりの妹に対して不満があります。
◆アパート3棟は他県で遠い!
自宅は妹が住んでいるので、そのままでよいかと思いますが、アパートと駐車場が悩みの種です。
4棟のアパートのうち、1棟は比較的近いところにあるので、まだなんとか行くことができるのですが、あとの3棟は車でも電車でも2時間以上もかかる他県にあります。
近隣の不動産会社に任せているとはいえ、建物の築年数も30年近くになっていて、これから大変になりそうです。そのアパートも全部、妹と共有名義になっているのです。
◆不動産は売らない!
父親の相続の際に、不動産を法定割合で相続しましたので、今回もそうするとなると、不動産は妹と半分ずつの割合で共有することになります。母親がいる時はそれでもよかったのですが、Nさんが困っていることは妹と意見が合わないことがあるということです。
Nさんは二人で賃貸経営することが負担になりつつあるため、遠いアパートは売却して分けたいと思って妹に言ったところ、妹は「父親から相続した不動産は売らない」の一点張り。まったく聞く耳を持ちません。かといってそのまま共有することも気が進まないのです。
◆金融資産でバランスを
幸い、母親の財産は預金、株式、生命保険もあり、不動産の3倍ほどあります。Nさんが不動産にこだわらないのであれば、不動産を全部妹に渡して親からの財産は保有してもらい、Nさんは金融資産を相続することでバランスはとれます。
妹がこのまま独身であれば相続人はNさん、あるいはNさんの娘たちですので、大きな不安はありません。
◆Nさんの名義をどうする?
残る問題は父親が亡くなったときに相続した4分の1の権利について、どうするかということです。
妹に買い取ってもらう、妹に使用貸借させる、割合分の賃貸収入を分けてもらう、のいずれかから妹と話し合って決めることになります。
今まで通りにNさんが賃貸管理に労力をかけるのであれば、収入を分けることが妥当だといえますが、意見のすれ違いなどのストレスを抱えたくないのであれば使用貸借させておく、このいずれかを選択することが現実的ではないかとアドバイスをしました。
ご相談は夢相続へ
●できる対策⇒不動産は妹に寄せて、所有割合を減らす。
意見のすれ違いによるストレスを抱えない工夫が必要。
妹に持ち分を買い取ってもらうなどして所有をなくす。
妹に使用貸借書させて不動産は任せてしまう。
遺産分割は金融資産で調整する。
●注意ポイント⇒以前から所有している権利を譲渡するには妹に譲渡税がかかる。
妹名義に寄せる場合の売買資金は相続財産から捻出するなど工夫が必要。
最初のご相談は無料です。
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