事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
独身の息子に維持はできない?!故郷の土地は全部処分する。
大学入学を機に家から独立
Fさんは75歳。妻を3年前に亡くし、40代の息子2人と自宅で同居しています。
Fさんの生まれ故郷は都心から電車で2時間の距離にあります。
大学に入学した時から、自宅から通学するのは大変でしたので、実家を離れて、寮生活を始めました。
会社に勤めてからも、実家に帰る選択肢はなく、通勤しやすいところにアパートを借りました。
結婚して、2人目の子供が生まれるころに今の自宅を購入して、40年以上も今の自宅に住んでいます。
結果、生まれ故郷の実家には大学に入学してから、戻ることがありませんでした。
母は姉が同居してくれた
Fさんは3人きょうだいの長男で、姉がふたりいます。
ふたりとも嫁いで家を離れましたので、両親がずっと二人暮らしをしていました。
Fさんの生まれ故郷は、海に近く、すぐ近くに山もあるのどかなところです。
父親は教職に就いていましたが、自宅だけでなく、農地や山林もありましたので、畑で野菜を作るなどもしていました。
父親が亡くなったあと、母親がひとり暮らしになりましたが、
子供のいなかった次女が、母親の面倒を見ると同居をしてくれていました。
たまたま夫と離婚したことから、次女もひとり暮らしになっていたことから、実家に戻るという選択をしてくれたのです。
父親の相続税が1600万円も
Fさんは実家を離れているというものの、土地を引き継ぐのは長男という両親の考えもあり、
父親が亡くなったときにほとんどの土地を相続しています。
地方の海辺の町だからと相続税のことなど気にもしていなかったFさんですが、
相続税を払う段になって1600万円も納税することになり、想定外で大変な思いをしたと言います。
そのときに相談にきてもらえば、配偶者の特例など活かして納税を減らす方法はいくつかあったと思えますが、
当時は節税できるということすら知らなかったようで、失敗したと言っておられました。
次は自分の相続ですが、もう70代半ばで、いまのうちになんとかしておきたいと相談に来られました。
独身の息子2人に土地は負担
現在、実家は次女が住んでいますので、維持できていますが、すでに80代で、次女が亡くなれば住む人がいなくなります。
Fさんもすでに70代半ばですので、自分がいなくなればどうなるか、考えないといけません。
頼りの息子2人は自宅から2時間ほどかかる祖父母の家に住んだこともなければ、今後、住もうという気持ちはありません。
2人の息子に相続させて管理、維持ができるかというと、とてもできないというのがFさんの結論なのです。
いまのうちに方向性をつけておく
Fさんの財産評価をすると土地が多くあるため、故郷の土地だけでも1億円近くの評価となり、
相続税も1000万円ほどかかります。
宅地や貸家もあるので、活用する価値のある土地もあります。
しかし、現地に住む予定がないのであれば、Fさんの判断で売却して資産組替をするほうがよいとこちらも判断しました。
そうしたほうが2人の息子にとっても負担がなく、家賃収入が入る財産に変えたほうが安心です。
また、土地を賃貸建物にすることで時価の30%程度の評価に変わり、相続税の負担も減らせます。
よって、故郷の土地の売却、資産組替をおススメしました。
Fさんもやはり、そうしたほうがいいですねと決断され、相続プランと売却の委託を頂き、実務を進めています。
相続実務士からのアドバイス
土地を所有していることは財産のはずですが、活用しない土地や活用できない土地であれば財産の価値は半減します。
実家で生活していた頃とは状況が違い、役割を終えた土地は処分して、
活用してもらえる人に譲渡していくことも必要な時代となりました。
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