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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

独身の長男はホームへ。費用に充てるために実家は売却する!

■実家を相続した長男が脳梗塞で倒れた

Тさん(70代女性)は4人兄弟。Тさんが長女、下に長男(70代)、次男(60代)、次女(60代)がいます。

長男以外は実家を離れて、それぞれ結婚して別世帯になっていますが、実家を相続した長男はずっと独身。両親が亡くなったあとは実家でひとり暮らしをしてきました。50代は元気に会社員として働いていましたが、定年前に勤務中に脳梗塞を発症し、入院、手術を経験しており、回復したものの後遺症が残る状態でした。

定年で会社はリタイアし、自宅で生活をしていましたが、再度、脳梗塞を発症して倒れてしまい、なんどか入退院を繰り返してきました。

 

■脳梗塞を再発。一人暮らしが困難になった

実家に一番近く住んでいるのがТさんで、弟が入院する都度、手続きをしてきました。弟の入院中も定期的に実家に帰り、家の管理をしてきましたし、弟が退院後もなにかとТさんが実家に帰ってはサポートをしてきています。次男や次女は離れたところに住んでいて、すぐに駆け付けるわけにはいかないため、長男のことはТさんが面倒を看てきたといいます。

そもそも長男は独身で、一人暮らしをしてきましたので、いずれ実家をどうするとの課題はありましたが、脳梗塞を再発した後になると、歩行が困難になり、自宅の1人暮らしはできない状態になったのです。

 

■ホームに入ったら売却する

幸い、長男は会話はでき、意思確認もできる状態だといいます。Тさんが長男の引受人として主治医とも話をしてきましたが、自宅の1人暮らしに戻る選択肢はないといいます。まずは、リハビリができる病院へ移り、その後は介護が受けられる特別養護老人ホームなどへ移るようになると言われていました。

このころから、弟は「自宅に戻れないなら売却してホームの費用に充てたい」と言っており、いよいよそのときがきたとТさんからどういう手順で進めたらいいかと相談がありました。

実家は築40年以上が経過しており、建物の価値はなく、土地を売却するのが妥当だと言えます。当社で価格の査定をし、スケジュールも説明しました。

 

■売却の流れとスケジュール

家を売却する場合は下記のような流れとなります。Тさんにはスケジュール表を作成して、ご説明をしています。


1.登記簿、公図、固定資産税納付書など書類確認
2.現地調査、役所調査
3.確定測量開始・・・3か月程度
4.価格査定 近隣事例など確認
5.媒介委託、売却活動・・・3か月程度
6.購入申し込み
7.売渡承諾
8.売買契約締結、手付金受取、仲介手数料半金支払い
9.家財の処分、解体見積もり取得
10.建物解体工事 
11.確定測量の完了
12.売買契約決済、残金受け取り、仲介手数料残金支払い

   

 

■測量と境界確定が必要

売却の際は、土地に関しては、隣地との境界確定が必要になります。必須ではありませんが、近隣との境界トラブルが起こりうることを想定すると、売却の際は、必須としたほうがいいでしょう。

Тさんにもまずは測量からとしましょうと説明し、測量会社の見積もりを取得して提示し、申込書に署名を頂いてから測量をスタートさせるようにしました。

測量図には、下記のような種類がありますが、売却の場合は、確定測量図を作成し、隣地の所有者にも立ち会ってもらい、境界についての確認をしたうえで、確認書に署名を頂いて添付します。

 

 

測量図の種類

・現況測量 現状をおおまかに測量したもの

・地積測量 法務局に登録されている測量図

・確定測量 隣接地所有者の境界立ち合いが必須となる測量図

 

■越境問題

Тさんの実家は角地ではなく、二軒目ですので、両側に隣接する家が建っています。奥に隣接する家もあります。それぞれのお宅との境には万年塀が設置されているのですが、確認すると境界杭の中に建てられており、どうやら父親が家を建てた際に設置したものだとわかりました。

Тさんの実家の敷地内ではありますが、測量士に確認したところ、老朽化したせいで、外側に傾いており、それぞれ隣接する隣地側に傾き、わずかながら越境しているということもわかりました。

売却する場合は、越境も解消しておく必要があります。すぐに万年塀を解体してしまえば問題は解消するのですが、費用負担もあります。その場合は、隣地所有者との間に「越境物の覚書」を作成して、塀を作り直す際には越境を解消するという内容で合意を得ておくようにします。所有者であるТさんの弟と隣接する3軒の方、それぞれに合意を頂けましたので、署名、押印頂き、覚書が出来上がりました。売却する際にはこの書類で新しい所有者に内容が引き継がれます。

 

■オークション形式の売却

不動産の売却の仕方は、不動産会社と媒介契約をし、流通機構に情報を登録して市場に出す形が一般的ですが、一般の方への売却するよりもいったんは不動産会社に売却する形もあります。

不動産会社に売却する場合は、建物を解体しなくて現況渡しできるなどのメリットがあり、手間がかからず、不安要素が減らせます。

現地にたびたび足を運ぶのは大変、所有者が契約などに立ち会えないТさんの場合は、一般的な売却の仕方ではなく、オークション形式にすることで合意を頂き、進めるようにしました。

 

 

■建物を置いたまま現況での売却もできる

Тさんの実家は最寄駅より徒歩25分。車移動が必要な立地です。路線価が上がっている都市圏ではなく、むしろ路線価は年々下がっている地域です。

この先、ますます下落することも懸念されるため、空家で維持するメリットはありません。

Тさんも所有者の弟さんもそのことを理解されて、購入希望のA社の金額で納得されて、売渡承諾書にサインをされました。

A社の条件として、解体は購入後にするということで、見積もりの180万円の解体費の負担はなくなります。

 

 

■空き家よりもホームの費用

Тさんの弟はまだ70代ですので、これからの特別養護老人ホームの生活が続くと思われます。年金が入るので、ホームの費用はちょうど払えるのですが、それでも入院、治療などの出費もあるかもしれません。弟の貯金もまだあるとはいえ、空家の固定資産税を負担し、植木が伸びて隣地にはみ出したり、強風で瓦が飛んだりなど近隣に迷惑を枯れないだろうかと不安に思うこともストレスだとТさんは話しておられました。

実家がなくなるため、お仏壇の位牌は次男が引き取るようにしてくれて、Тさんも弟も安心できたと言っておられました。

弟の意思確認には司法書士がホームに出向いて行い、契約などの事務的なことは委任情を作成してТさんが行うことで、問題なく売却が完了しました。Тさんも弟もこれでお金の心配がなくなったと喜んでおられました。

弟の脳梗塞が悪化したり、認知症を発症すると、意思確認が取れず、家の売却もできない事態も想定されましたので、早めに決断して頂いてよかったと安堵しています。

 

 

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