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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

現金から不動産へ。マンション評価が上がっても確実に節税効果がある!

■父親の財産は母親へ

Тさん(50代男性)から、母親の節税対策を実行したが、その効果がどれくらいなのか、検証してもらいたいと依頼がありました。

Тさんの母親は80代。3年前に父親から財産を相続していますが、そのときに今後の二次相続対策を夢相続で提案していました。

父親の財産は自宅と金融資産で母親と2人の子どもの基礎控除4800万円以下でしたので、相続税の申告は不要で、母親が全部を引き継ぐようにしたといいます。

夢相続には、その後、相談に来られました。

 

■母親の財産

Тさんが相談にこられたのは2年前。父親の相続が終わって1周忌が過ぎた頃でした。80代の母親はまだまだ元気だけれども、相続対策の提案をしてもらいたいということでした。

母親の財産を確認しますと、1億7000万円あるということがわかりました。金融資産が85%という状況でした。

不動産は2つのマンションと小口化商品1つの3つを所有されていました。自宅マンションと賃貸している区分マンションと商業ビルの権利で、土地、建物を合わせた評価は2500万円程度です。残りは、預金、有価証券などの金融資産です。

金融資産を保有されている経緯をお聞きしますと、母方の祖父の相続のときに上場株を相続し、そのまま保有してきたものが値上がりして約1億円になっているということでした。

そのままでは2600万円の相続税がかかると想定されました。

 

■評価が下がる財産に持ち変えるメリット

母親の相続税を節税するには、金融資産を活用して、評価が下がるものに変えることが効果的だという提案をしました。株を解約して、現金で区分マンションを購入して賃貸しておくことです。現在では、賃借人がいる状況で購入する、いわゆるオーナーチェンジの物件が流通していますので、そうした状態で購入することもできます。

相続税の節税対策として分譲マンションを購入するメリットは、いくつかの理由がありますが、大きくは次の3つです。

 

1.現金よりも低い評価になる
現金や預貯金はそのままの額で相続税の対象となりますが、分譲マンションを購入することで、現金を不動産に変換し、相続税評価額を引き下げることが可能です。これは、不動産が現金よりも評価額が低くなる傾向があるためです。

 

2.貸家建付地評価
購入した分譲マンションを賃貸に出している場合、「貸家建付地」としてさらに評価額が下がるため、節税効果が高まります。

 

3.小規模宅地等の特例の活用できる 居住用または事業用の特例
相続人が購入した分譲マンションに住んでいる場合、もしくは事業用として使っている場合、「小規模宅地等の特例」を利用することで、相続税評価額を最大80%減額することが可能です。これにより、相続税の負担を大幅に減らすことができます。

 

■評価の違いが節税になる 「現金」vs「不動産」

▽「現金」は額面どおり

 相続財産の価額は、相続開始の時の時価で評価をすることになっています。つまり、相続及び遺贈で取得した財産の評価は、亡くなった日現在の価額となります。

 預貯金は、金融機関に預けてある残高がそのまま財産評価となります。普通預金や通常貯金は、相続日の残高がそのまま評価額になりますが、定期預金や定期郵便貯金など貯蓄性の高いものは、預入額に課税時期現在の既経過利子を加えた額となります。

 このように、現金・預金は、亡くなった日の残高が財産の額となり、特に預金は金融機関の残高証明書で確認をしますので、その額からは1円も減らすことはできません。むしろ、家族名義の預金も相続財産として増えることもあるかもしれません。

 

▽「不動産」は貸すことで評価が下がる

 現金・預金に比べると、不動産の評価の仕方は複雑です。

土地の評価は、路線価方式と倍率方式があります。建物が建てられる地域はたいていが路線価方式で、時価の8割程度だとされています。これだけでも評価が下がるのです。

 さらに、土地の使い方によっても評価の割合が変わってきます。

自宅や貸し駐車場など自分で使っている場合は「自用地」として100%評価をします。土地を貸している「貸宅地」の場合は、土地は自分のものでも、建物は借地人が建てており、すぐに明け渡してもらうというわけにはいきませんので、自用地評価より借地人の持っている借地権割合を引いて評価をします。借地権割合は地域により定められており、30~90%です。

 自分の土地に、自分名義で、賃貸アパートやマンションを建てている場合、その土地は「貸家建付地」となり、自用地評価より借地権割合と借家権割合を掛けた分を引きます。

自分の土地に子供などの親族が建物を建てて住んでいることがありますが、地代をもらっていない場合は、「使用貸借」となり、「自用地」と同様の100%評価になります。

 建物は固定資産税評価で評価をしますが、実際にかかった建築費の時価の40~60%の評価となります。それを貸していれば、借家権を引いた70%で評価をするようになります。

 このような評価の仕方の違いをうまく利用して、評価を下げて節税を引き出すのです。

 

■母親の節税対策の効果はどれくらい?

Тさんはこの内容を母親にも説明し、理解してもらい、具体的な対策としてオーナーチェンジの分譲マンションを3つ購入し、賃貸。さらにТさんの娘が住むためのマンションも購入し、家賃を払うことなく、使用貸借としているといいます。

母親が実行した対策は、金融資産から収益用不動産への資産組替です。購入価格と現在の相続評価を比較しました。

1.購入価格3300万円⇒現在の相続評価906万円  評価率45%
2.購入価格2800万円⇒現在の相続評価711万円  評価率18071%
3.購入価格1773万円⇒現在の相続評価701万円  評価率53%
4.購入価格1700万円⇒現在の相続評価477万円  評価率05%・・・使用貸借

購入価格と相続評価を比べると、29.19%になりました。1億円の現金をそのまま持ち続けるのではなく、現金でオーナーチェンジ物件を購入することによって30%以下の評価に変わります。賃貸していなくても、不動産にするだけで30%以下の評価にかわっています。

結果、相続税額は2600万円から1120万円まで減額できており、42.70%となり、半分にできています。

 

■分譲マンション補正率の影響

2024年1月1日以後、相続、遺贈又は贈与により取得した「居住用 の区分所有財産(分譲マンション)」の評価が変更されました。居住用マ ンション1室の評価額は時価の今まで時価の20~30%程だったところが 40%程になります。節税効果が少なくなる傾向になります

2024年1月1日より分譲マンションの評価はマンション補正率が適用 されて以前より評価増になりましたので、いままでのように時価の 20%程度のような節税効果が得られなくなりました。 よって、節税対策として不動産を所有する場合は、分譲マンション 以外の賃貸不動産を所有されることをお勧めいたします。

 

家賃収入は年間400万円

Тさんの母親の家賃収入は、年間約400万円です。相続後も所有したとする継続的に賃料収入を得ることができ、安定した財産になっているとТさんは話してくださいました。

2024年から分譲マンションには補正率を計算していままでの評価に掛けるようになりましたので、今までの1.3倍~1.5倍程度の評価となり、増加傾向にありますが、それでも時価の30%~40%程度ですので、節税効果は確実た゜と言えます。

さらに家賃収入として手元に戻ってきますので、賃貸事業費の捻出ができます。

 

まとめ

Тさんは2年前の夢相続の提案により、節税対策の内容がわかり、母親に決断してもらってよかったと言われています。Тさんよりも母親、本人のほうが積極的で、子どもや孫に負担のない形で引き継いでもらえるということで決断されたのでした。

2年経ち、評価を検証したところ、節税効果が明確になりました。Тさんは母親に報告して、方向性が間違っていなかったと安心されたということです。さらに贈与などできることにも取り組みたいということですので、提案する予定です。

 

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