事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
貸家の家賃は申告していない。相続では更地評価しかできない!
◆父親の相続で
Мさん(40代女性)が相談に来られました。父親は地方都市の農家の次男で、先代から自宅周辺の土地を相続しました。田んぼの2つ分、2反で約600坪あります。
父親はその土地に自宅を建て、残りに貸家を13軒建てて、貸家業をしてきました。
父親が亡くなった時、母親とМさんと弟で、相続をしました。
◆土地は母親、建物はМさん
母親が80歳になり、相続のことも考えておきたいというのがご相談の内容です。母親の財産の内容を確認すると、土地は母親、建物はМさんと弟という部分があります。建物を所有するМさんが土地を相続すると問題はないのですが、母親の考えは、土地は同じ敷地に住む弟に相続してもらい、守ってもらいたいといいます。Мさんは離れた土地に嫁ぎましたので、弟が不動産を相続して守ってくれるなら、それでよいと思っています。そうなると、建物はいずれ、弟に譲渡か贈与する必要があります。あるいは解体するまでそのままで維持し、建て直すタイミングで弟名義にするなど、いずれかと方法で解決することができます。
◆貸家建付地にならない
貸家は13軒、建っていて、そのうちの1軒に弟が住んでいます。残りは貸家ですので毎月4万円程度の家賃が入っています。現在は2軒が空室になっているものの、10軒は母親が現金で受け取ったり、銀行振り込みされていたりします。
問題はその家賃収入について。Мさんが母親に聞いたところ、母親はもう何年も前から確定申告をしていないことがわかったのです。
貸家の土地は半分強の400坪ほどありますが、家賃収入を確定申告して納税していないと貸家建付地としての評価ができず、小規模宅地等の特例も使えません。
評価として3500万円ほどの土地ですが、600万円以上の減額ができるので、やはり違いがあります。
◆いまから修正申告
不動産収入の申告は家賃から固定資産税や修繕費などの経費がひけますので、それほど大きな利益にはならないと言えます。そこから基礎控除などを引くと所得税は多額ではないと思えますので、いまから修正申告をしておくことで、貸家建付地評価をすることができます。母親の相続はすぐでないとしても、今から修正申告をしておくことをアドバイスしました。そうすることで土地も建物も貸家評価ができます。
今後は母親、弟とも情報を共有して、母親の金融資産と不動産のバランスをみながら、相続に備えるようにし、遺言書も用意してもらうようにとアドバイスしました。
Мさんはいろいろと整理できて、よかったとほっとされていました。
相続実務士のアドバイス
●できる対策
母親が家賃収入を確定申告し、納税しておくことで貸家評価ができ、 貸家の小規模宅地等の特例も適用できるようになる
土地と建物の名義は合わせるように方法を選択する
●注意ポイント
家賃は建物を所有する人に入るが、土地を所有する人が受取り、建物は使用貸借として、ひとりで申告することでも問題はない。
最初のご相談は無料です。
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