事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
相続税が増える!固定資産税評価が高い建物は逆効果!
◆父親の相続が5年前
地方都市にお住いのYさん(50代・男性)が相談に来られました。
同居する80代の母親の相続対策をしたいというのです。
建設業を営んでいた父親は5年前に亡くなり、母親とYさんと妹の3人で相続税の申告をしました。
相続財産は約3億円。会社はYさんが受け継ぎましたので、会社が使っている土地など約1.3億円をYさんが相続、
母親は自宅と収入がある賃貸マンションと現金、約1.5億円を、妹には現金2000万円という遺産分割をしています。
◆思いのほか、現金が残っている
母親は80代となり、まだ元気ではありますが、そろそろ相続が気になります。
母親本人もそろそろ対策をしておきたいということで、母親の預金を確認しました。
父親から相続した財産がわかっていますので、Yさんは、母親の財産は1億円程度だと思っていました。
ところが母親の預金は予想以上あり、預金だけで1.5億円、有価証券に5千万円もあることがわかったのです。
母親は経理を担当して、父親と一緒に会社を切り盛りしてきましたので、ずっと役員報酬がありました。
父親が亡くなるまでは毎日会社に出ていましたので、40年ほど働いており、それなりの預金があってもおかしくはないところです。
◆節税対策で1棟マンションの購入を検討
Yさんは建設業なので、父親の代からお客様の節税対策として、土地活用で賃貸マンシヨンを建てる仕事を担当してきました。
そのときのお客様が亡くなり、建てた物件を売りたいと相談がありました。
築20年ですが、立地もよく、建物もわかっているので、母親の節税対策にしては考えたのです。
価格は9600万円で、母親の預金で足りるため、借入する必要もなく、無理はありません。
1LDKと2LDKが20世帯、毎月130万円の賃料が入り、表面利回り16%となり、賃貸収入も安定しています。
◆現金で不動産を購入すると節税になる
Yさんから相談がありましたので、お母さんの財産を確認させていただき、相続プランをご提案することになりました。
現状では、相続税が5000万円ほどかかります。
節税対策を考えるのであれば、貯めてある現金を解約して、不動産を購入して頂くことが定番のご提案になります。
その際の節税効果は1棟アパートで時価の45%程度、区分マンションで時価の30%程度の評価になるのが一般的です。
Yさんの母親も対策すれば相続税は半分程度に減らせる計算になります。
◆固定資産税評価が高い!
今回は、Yさんから購入を検討している物件があるということで、具体的な評価をしてみました。
購入価格は9600万円、土地の路線価評価4400万円、建物評価9300万円。
土地を貸家建付地で2割減額、建物を貸家評価で3割減額できるとして、合計が1億円を超えるのです。
結果、相談税の節税になるどころか、逆に相続税が200万円ほど増えてしまいます。
母親の対策には適さない物件だということが判明しました。
今回は、Yさんの会社で購入し、母親の対策用に購入する物件は節税効果が高いものを探しなおすことにしました。
相続実務士からのアドバイス
今回は、賃貸物件というだけで購入してしまうと逆効果になるというレアなケースです。
節税対策用に購入するのであれば、節税効果を試算してから決断する必要があります。
そのためにも専門家に相談されることをおススメいたします。
コラム執筆