事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
相続税の借入返済のため資金繰りに追われる!空き地は売却して身軽に
◆母親から相続
Hさん(60代男性)は10年前に母親が亡くなり、妹と二人で相続しました。兼業農家のため、父親が健在の頃に土地を生かして賃貸マンションを2棟建てていましたので、父親が亡くなったときには建築費の借り入れと母親の特例を適用することで、相続税の納税はなく、済ませることができました。
その分、二次相続が大変だと言われてきましたが、母親はあらたな対策をすることなく亡くなってしまいました。妹は母親名義の土地に家を建てていますので、その土地と現金を相続し、Hさんが残りの自宅や賃貸マンションと借り入れ、畑や空き地を相続しました。
◆相続税は借入した
妹の納税は2000万円で、相続する現金で払えるめどがつきましたが、Hさんの相続税は1億2000万円となり、相続する現金では払えません。農地は納税猶予を受けるとしても1億円の納税が必要でした。
Hさんは申告を担当した税理士と相談し、賃貸マンション以外の畑や空き地の3か所を担保に入れ、納税資金を銀行で借入したのです。賃貸マンション2棟の返済が月額150万円、相続税の返済が月額70万円、合わせて毎月220万円を銀行に返済する生活となりました。
賃貸マンションの家賃が入るので返済はできるのですが、いつまでも資金繰りに追われて楽ではないことに気づき、なんとかしたいと相談に来られたのです。
◆親から相続した土地
Hさんの所有される土地や賃貸マンションを確認すると相続税のための担保になっている土地は家が建てられる土地です。面積が300坪、400坪、500坪といずれも大きく、地目は山林。現地も雑木林のように低木が植えられています。
Hさんは親から相続した土地なので守っていくのが長男の役目と考えていて、相続してからの利用計画もなく、持ち続けてきたといいます。
返済の元利金はすでに相続税を上回っており、収入のない空き地を持ち続けるメリットはないとアドバイスしました。母親の相続のときにサポートしていれば、その時に売却して納税する案を出していたはずで、残念に思います。
◆空き地は売却
このまま土地を持ち続けても3か所の土地は最寄駅からバス便の立地で、賃貸マンションには不向きだと判断できます。建売用地として不動産会社に売却するのが選択肢です。しかし、まとまった土地は利用価値からすると宅地造成をして区画割をすると道路を作ったり、敷地延長の区画になったりなどして全体の6割程度の評価に下がり、宅地の有効面積が減ることもあります。
その結果、相続評価以下でしか売れないこともありますが、相続まで持ち続けても路線価が下がり、建売住宅の需要が減るなどマイナス要素が大きくなります。
Hさんにこうした状況を説明すると、3か所とも売却して借入返済をする決断をされましたので、売却を進めることになりました。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策 利用計画のない空き地は売却する
売却代金で借入返済をする
●注意ポイント 賃貸住宅などで家賃が入る不動産は維持するメリットがありますが、利用しない土地は持ち続けても負担になるため売却、資産組替を検討しましょう。
最初のご相談は無料です。
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