事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
節税のための同居はしないほうが。ストレスにならない対策を!
■90代、1人暮しの母親、不安が出てきた
Kさん(60代男性)の母親は父親が亡くなってからは1人暮しをしてきました。
母親はことし90歳になるので、いろいろと不安なことが出てきたといいます。
子供はふたりで、長男のKさんと妹(50代)ですが、ふたりとも同居はしておらず、
それぞれ自分たちの家を取得して生活しています。
これからの母親の相続のときに困らないように、いまからできる対策をしておきたいと
Kさんご夫婦が相談に来られました。
■自分たちだけでは方向性が決められない
母親の財産は100坪の自宅9000万円とアパート3000万円と金融資産8000万円、
合わせて2億円になります。
最近、たまたまKさんの家の近くで中古住宅が売りに出されたことから、家を建てて
母親と同居すれば、互いに安心で、節税にもなっていいのではと思いつきました。
自分ではいい案だと妻に話をしたところ、今から同居はしたくないという回答。
妻の方では、少々認知機能に不安が出始めている母親はむしろホームに入って
もらった方が良いのでは?という考えで、自分たちだけでは方向性が決まりそうに
ないので、アドバイスしてもらいたいというのです。
■小規模宅地等の特例はどこで使えば?
Kさんは父親の相続のときは、母親が相続したので、自宅の小規模宅地当の特例が
使えて効果的だったことから、同居しておくことが節税になると知っていました。
よって、元気なうちは別世帯でいいが、そろそろ同居しておかなければという思い
があり、近くの中古住宅が売りに出されたタイミングを活かしたい思ったようです。
また、小規模宅地等の特例を使えば節税になるので、果たしてどこで使うことが
節税になるのか、あらためて確認しておきたいということもありました。
■節税のためにストレスをかかえるのは、お勧めできない
居住用の特例は同居する相続人がいれば、330㎡まで80%減額でき、確実な節税と
なりますが、それには「同居」か「家を持たない」か、など要件があります。
いつ相続になるかわかりません。いままで自分たちのペースで生活してきた
大人が、同居するとなるとどんなにいい人同士でもストレスになるのは当然でしょう。
いくら数字上、相続税の節税になるといっても、お互いにストレスをかかえての
生活では、何年もの間、日常生活でストレスをかかえることになるのでは、
お勧めできないところ。
■節税の方法はいくつかある
いままでの自分たちの生活のリズムを大切にし、快適な毎日を過ごすためには
同居で節税するのではなく、金融資産で不動産対策をして、貸付用の特例を
適用する方法があります。
また、母親にはケアつきの高齢者住宅に住み替えてもらい、自宅は賃貸住宅に
建替える方法も検討できます。
Kさんご夫婦は、いくつかの方法があることを知って、ほっとされたようで、
「相続プラン」の委託を頂き、提案する中から選択してもらうことになりました。
相続コーディネート実務士から
いくら節税になってもストレスをかかえる方法であれば価値がありません。
みなさんが幸せに生活できる方法を提案していきたいと思うところです。