事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
認知症で崩れる円満同居。姉妹の仲も対立、相続も進まない!
◆母親が亡くなった
Fさん(60代・女性)が相談に来社されました。先月、母親が亡くなり、妹と二人で相続の手続きをしなくてはいけないということです。
母親(90代)の財産は自宅マンションとFさん夫婦が住む二世帯住宅の土地、建物の3分の1と預金1500万円、基礎控除4200万円を超えてしまい、相続税の申告が必要になります。
◆同居していたのに
母親は数年前まではFさん夫婦が住む一戸建ての住宅に居していました。
父親が亡くなり、母親の一人暮らしが不安になってきたため、自宅を売却して、そのお金で土地を買って二世帯住宅を建てたのでした。
母親が1階、Fさん夫婦が2階に住み、15年ほど円満に暮らしていましたが、あるときから母親が一緒に食事をしなくなりました。
Fさんも夫も仕事をしていて、普段は家にいないため、そうした状況が改善されないまま、気づいたときには母親はどこかへ転居していたのです。
◆認知症の思い込みかも
どうやら母親が同居の不満を漏らしたことから、妹が手配して自宅よりは便利な駅の近くに住むためのマンションを購入していたようです。
のちに妹から話をされたのですが、母親はFさん夫婦が介護してくれないと思い込んだようですが、食事も一緒にしていますし、病院の送り迎えなどすべてFさん夫婦がしてきているので、母親の言い分は納得しかねるものでした。
今から思えば母親の思い込みはすでに認知の症状が出始めていたのかもしれません。
◆母親の遺言書はなし
母親は遺言書を残さなかったので、妹と二人で話し合いをして分け方を決めないといけません。
母親の自宅マンションは最寄り駅に近く、便利なところです。
Fさんの自宅は最寄駅から徒歩15分の距離にあり、どこに行くにも便利です。
Fさんはマンションも相続してもいいかと考えています。妹も同様で自宅はあるので母親の荷物を片づけて賃貸しようと思っているようです。
◆どう分けたら円満?
自宅の持ち分と母親のマンションはほぼ同じほどの評価になります。Fさんの住む家に妹名義を入れるとその先の相続は複雑になるため、不動産で分けるなら、1つずつとし、預金も半分にするのが妥当な分け方だと言えますが、マンションは駅に近く、価値が高いのでは?という質問もありました。
確かに路線価はFさんが住む家と比べて高いのですが、面積はかなり小さく、共同住宅ですから、自由度も少なくなります。全部、売って、半分にするならFさんが住む家も売ってしまうことになり、転居のわずらわしさが出てきます。
よって不動産は1つずつとし、預金で評価の差を調整することが1つの選択肢だとアドバイスしました。
妹と二人で相談して、分け方を決めるため、まずは相続税の申告準備から進めたいと言って帰られました。
不動産を両方共となると、バランスが悪いため、ほどよく譲り合うことが大事です。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒相続税の申告準備をし、不動産評価を明確にする。
財産の分け方を決めて、遺産分割協議書を作成する。
●注意ポイント⇒不動産の価値は違うため、差があるときは預金でバランスをとる必要がある。
不動産を2つとも相続したい場合は預金の他に自分で相手に払う必要があり、現金は持ち出しになる。
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