事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
財産の9割が貸宅地
◆夫は5年前に他界
Mさん(80代女性)は、父親から相続した貸宅地があり、一部を売却して相続税を
支払いましたが、そのから現在まで、15年、所有してきました。
そろそろ相続のことも考えておきたいと、長男と一緒に相談に来られました。
5年前に夫が亡くなり、相続人は長女、次女、長男の3人の子供たちです。
Mさん夫婦は長男家族と同居してきましたので、夫が亡くなったときに、二次相続を
考えて、自宅の土地、建物は、長男名義にしました。
よって、Мさんが住んでいる自宅は、Мさんの財産ではないということです。
◆評価は1億6000万円、相続税2040万円
Mさんの貸宅地300坪で1カ所にまとまっています。150坪が法人の事務所、
100坪が法人の役員の自宅、50坪が法人の寮と3つの用途に分かれています。
借地権は6割、路線価40万円/㎡で、貸宅地の底地評価は1億6000万円となりました。
預金は2000万円あり、Мさんの財産は合わせて1億8000万円となり、相続税は
2040万円と試算されました。
貸宅地の地代は年間480万円あり、法人がまとめて地代を振り込んでくれるため、
手間がかかりませんので、賃貸事業の苦労はありません。
年間100万円の固定資産税がかかりますが、手取りは380万円あり、安定しています。
◆このままでは自由度がない、対策で解決
Mさんは相続になれば、この貸宅地を3人に平等に相続させたいという気持ちです。
しかし、この貸宅地を3人に分けるにはぴったりいかないため、課題と言えます。
貸宅地は土地所有者には自由度がないため、財産といっても価値が高くないと
言えます。その場合は、底地を処分して、資産組替が妥当だとアドバイスしました。
Мさんに父親からの財産なのでそのまま持ち続けたいかとお聞きしてみると
「住んでいたわけでなく、拘らない」ということです。
◆売却方法は3つ、最初の交渉相手は借地人
底地の解消方法としては、土地を評価で交換する方法、借地人に売却する方法、
一緒に第三者に売却する方法などがありますが、いずれも借地人に意向を無視
できないため、最初の交渉相手となります。
Mさんは、子供たちとも相談し、どの方法にするか、早々に決めると言って
帰られました。ずっと貸宅地で所有していくメリットがないのが現状ですので
いずれかを決断するということでした。
相続コーディネート実務士から
財産をそのままの形で持ち続ける時代ではなくなりました。定期的に確認して
資産組替をしながら維持していくことで価値が生み出せると言えます。