事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
財産は自宅とアパート。娘3人で分け方が難題、どうする?
◆長女家族が母親と同居を始めた
Sさんは三姉妹の真ん中。姉と妹と三人でセミナーに参加されていました。
セミナーが終わってお聞きしたところ、父親が亡くなってから母親はひとり暮らしをしてきたが、
80代になって老後が不安になり、長女家族が実家で同居を始めたといいます。
母親の財産は自宅の他にアパートがあります。
父親が亡くなったときはすべて母親が相続しましたので、多少の現金もありそうだと。
そろそろ相続のことも考えたいので、姉妹でセミナーに参加したということです。
後日、固定資産税の納付書を持参して、相談に来ていただきました。
◆財産は自宅とアパート
母親の財産は自宅の他にアパートがあります。
不動産の評価をすると自宅は5000万円、アパートは3000万円、預金ははっきりわからないが、
2000万円ほどはあるのではということです。
相続税の試算は850万円ですが、自宅に小規模宅地等の特例を適用すると120万円となり、
納税のめどは立ちそうですが、問題は分割とアパートの維持です。
自宅は長女が住んでいるので、特例を使うためにも長女が相続するのが望ましいとなると、
1つのアパートを次女と三女で相続することになります。
アパートは築40年と老朽化しており、4世帯のうち、半分しか入居していません。
アパートは建て替えたほうがいいのか、売却したほうがいいのか、
それも家族では決めきれないのでアドバイスが欲しいということでした。
◆分け方の選択肢はあるが、それでも難題
娘3人なのに、不動産が2カ所というのは、難しいところ。
いくつか選択肢は作れますが、それでも難題だと言えます。
いちばんすっきり公平なのは、相続の時に2カ所とも売却して3等分する方法です。
しかし、母親は両方とも残してもらいたいという希望のようですし、
長女は自分たちの住んでいたマンションを売却して同居をはじめたので、
相続のときに出なければならないのは理不尽のようです。
小規模宅地等の特例を使うには長女が自宅を相続することが必要なので、
自宅は長女が相続することが選択肢の上位となります。
◆アパートをどうする?
母親の希望のとおりにアパートを残すには、そろそろ建て替えの時期だと言えます。
現状のままでは、借り入れはないものの半分しか入居されていないことですし、これからさらに維持費がかかるでしょう。
この機会に建て替えると建築費の借り入れが必要になりますが、節税効果となり相続税はかからなくなります。
賃料は現状よりもアップでき、返済しても手元に残せます。
しかし、課題は変わらず、さらに分けにくくなることです。
それを解消するにはもうひとつ不動産を購入して娘3人に1つずつとするか、
アパートを売却して2つの区分マンションに買い替えるかなど、いくつか方法があります。
◆整理するため「相続プラン」
こうした課題を整理し、選択肢を用意することで、決断しやすくするよう「相続プラン」の委託をして頂き、提案することにしました。
どの方法もメリット、デメリットがあり、現状を優先しながら、選択していくには評価を計算しながら比較していく必要があります。
また、ぴったり3等分が難しいことや、小規模宅地等の特例を使えるように分割を決めておくことが必要なため、
母親には遺言書を作成してもらうことも提案しました。
「相続プラン」で提案して、早々に対策に取り組んでもらうことになります。
相続実務士からのアドバイス
3人姉妹が揃ってこられましたので、仲は悪くないのですが、本音も出てくると難しいところ。
対立する前に、専門家が間に入って整理し、提案していく必要があると感じました。