事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
貸駐車場に小規模宅地等の特例を適用するには事業の継続、申告、ありき。
■母親が亡くなったため、相続手続きが必要
今年、Aさん(60代・男性)の母親(90代)が亡くなり、相続の手続きをしているが、いろいろと不安があると相談に来られました。
Aさんは一人息子できょうだいはいません。父親は20年前に亡くなっています。
Aさんは仕事の関係で実家を離れて就職して、結婚。子どももいます。けれども実家に戻る選択はないまま、自分で家を購入しました。
■母親は介護施設で生活
Aさんが生まれた家は、地方都市にあり、最寄駅から徒歩5分と便利な立地にあります。父親が30年前に亡くなっていて、母親はしばらく一人暮らしをしていましたが、80代半ばになると一人暮らしが大変になり、介護施設に入所して生活するようになりました。子どものAさん家族は遠く離れたところにいるため、何かあっても飛んで行ける距離ではなく、仕事が忙しく転勤や出張がある職場で、母親の介護まで手が回らないのが現実でした。
■空き家は解体、駐車場にした
母親が施設に入所してから実家はしばらく空き家になっていましたが、母親は管理ができず、Aさんにも負担となり、建物を解体、更地にするとコインパーキングで借りたいという会社があり、契約をしたのです。コインパーキングの設備は借りる会社が設置するということで手間がかからず、年間100万円程度の収入がはいります。固定資産税は年額30万円ですが、それでも残りがあるので契約をし、以来、10年ほどはコインパーキングとして賃貸しています。
■税理士に依頼したが、何の連絡もない
Aさんは知り合いから紹介された税理士に相続税のことを相談したところ、相続税は200万円ほどかかると言われたため、手続きをお願いしますと口頭で伝えたといいます。それから半年、税理士からは何の連絡もなく、何の書類ももらっていません。
どこまで進んでいるのかもわからず、困っているといます。
申告期限を確認すると、あと2ヶ月しかないということがわかりました。そこですぐに当社にコーディネートの委託を頂き、相続税申告を担当する税理士を選任、申告の準備をしてもらうことにしました。
■駐車場は小規模宅地等の特例が使える
小規模宅地等の特例は自宅だけでなく、賃貸用の土地にも適用できます。アパートだけでなく、駐車場の土地にも適用できるので、相続税の申告時に適用すれば200㎡まで50%減できます。Aさんの母親の駐車場の土地評価は5600万円ですので、面積は170㎡ですので減額の適用後は2800万円の評価となります。
母親の預金はほとんど残っていないため、財産は6000万円。特例適用後の財産評価は3200万円となり、相続税は0となるのです。
■事業の継続が要件、半年間売れなかったことが幸い
小規模宅地等の特例は申告期限まで賃貸事業を継続していることが要件です。Aさんは離れたところに住んでいるため、駐車場は売却したいと半年前から、不動産会社に売却の委託をしていました。
ところが半年間売れず、現在に至ると言います。間口が狭く奥に長い細長い形状のため、建物が建てにくいことが理由だと不動産会社から説明を受けています。
けれども、相続税のことを考えると、申告期限まで売却せずに賃貸事業を継続することで小規模宅地等の特例が使えて、200万円の相続税を納付しなくてもよくなるため、売れなかったのがむしろ幸いだと言えます。
■駐車場は二年間、確定申告をしていない
相続税の申告には、駐車場の賃貸事業をしていたことの証明が必要になります。通常は確定申告をしていれば、それで判断がつきます。
ところが、母親は青色申告会に入っていて、毎年、自分で確定申告の手続きをしてきましたが、高齢になり、認知が進んだためか、ここ2年ほどは確定申告ができていないということがわかりました。
けれども、いまからでも申告することができ、昨年、一昨年の分の確定申告をすることで、賃貸事業の継続があったということになります。
よって相続税の申告と合わせて、確定申告、準確定申告も提出する段取りをします。
■夢相続へ切り替えて納税はなしに
Aさんはこうしたアドバイスを聞いて、正式に夢相続へ委託をすることを決められて、業務がスタートしました。申告期限まであと2か月未満ですが、以前の税理士は必要書類のご案内もしていなかったようです。
幸い、不動産登記のために、母親の戸籍謄本は集めてあり、登記が終われば税務署に使えるといいます。
申告期限まであと2か月を切った日程で、税理士を選定し、必要書類をご案内、チェック、税理士と連携を取り、相続税の申告を終えるのは簡単ではありません。けれども
日ごろから相続に取り組んでいる当社ではノウハウも経験値もあり、節税を実現しながらコーディネートすることができます。
Aさんからはすぐに委託書が戻ってきて、必要書類も急ピッチで集めて頂いています。すでに税理士には当社で取得して土地謄本や公図などを提供して準備してもらつており、期限には間に合わせることができます。
すぐに切り替えてよかったとAさんはほっとされています。
■相続実務士のアドバイス
できる対策
貸付用の小規模宅地等の特例を適用して評価を減らす
相続税の納税は0にできる
注意ポイント
貸付用の土地にも小規模宅地等の特例が適用できるが、申告期限まで事業を継続していることが要件となる。確定申告で事業の申告をしていることも必須。確定申告をしていなければさかのぼって申告をしてしまう必要がある。
最初のご相談は無料です。
TEL:0120-333-834
お気軽にお問い合わせください
コラム執筆