事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
農業後継者がいない!?父親が体調を崩した今、家族で対策を考える!
◆兼業農家に嫁いだ
Fさん(40代・女性)は兼業農家の長男と結婚しました。夫の両親と同居して、子どもたちと3世代同居をしています。
両親は野菜農家で、義父が先代から相続した広い畑があり、その畑で育てた野菜をJAの販売所に納品して収入を得ています。けれども野菜の販売だけでは生活できないため、父親は40年ほど前から8軒の戸建て貸家を建てて賃料を得てきました。
◆義父が体調を崩した
義父は80歳になり、体調を崩して入院。手術して、回復はしたものの病名を告知されており、いつ再発するか分からない不安があります。ようやく退院できたものの、もう農作業はできない状況。これからどうすればいいかとFさんから相談がありました。
長男であるFさんの夫はサラリーマンで、農業を継ぐつもりはないといいます。
今年の野菜の出荷は義母とFさんを中心に、近くに住む次男にも手伝ってもらってなんとか出荷できていますが、父親が農業を出来ないとなると継続が難しいといいます。
◆父親の財産と相続税
父親の財産を確認すると、所有する土地は全部が市街化区域の中にあり、畑と言っても相続では宅地並みの評価となります。自宅が400坪、貸家250坪、畑2500坪、田1500坪あり、建物1000万円と合わせた評価の合計は約2億円。預金は約2000万円ですから、財産の91%が不動産、土地が86%を占めています。
相続人は母親と子供二人の3人ですから、基礎控除は4800万円。相続税を計算すると3200万円と試算されますので、既に納税できる預金が足りないということが明白となりました。
◆課題が多い
義父は多くの土地を所有しているが、現状では土地のいずれかを売却しないと相続税が払えないため、不安があります。
また、貸家8棟のうち、4棟は空き家のまま放置してあるという状況で、これも検討課題と言えます。
さらには今後、長男、次男ともに農業を継ぐ意思がないため、納税猶予も使って農地の維持をすることができないため、農地でない活用をしていく必要があります。
◆相続になる前に対策を
義父は多くの土地を所有していることから、相続になったら土地を売って相続税を払えばいいという考えがあるようですが、それでは相続税は減らすことができずに、土地が減ってしまう結果になります。
そうならないよう、相続になる前の今、父親が決断して対策をすることで、相続税を減らすことができ後継者がいない農業を廃業して不動産賃貸業を専業にしていくことが、できる対策と言えます。畑を売却し、賃貸状況の見通しがよい立地に買い替える資産組み替えをすることで更地から賃貸住宅に変わり、時価の30%以下の評価に変わります。
仮に農地と空き家も含めた土地について資産組み替えをすると、相続税は1000万円以下に下がり、70%の相続税を節税することができるのです。
Fさんはすぐに家族で話し合って相続プランを作ってもらいたいということで委託を受けましたので、現在、具体的な売却の評価をしているところです。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒市街化の農地を売却、賃貸住宅に買い替える。
空き家の賃貸住宅は建て替えか、売却かを検討して、満室経営をする。
農業後継者がいない場合は廃業し、不動産賃貸業を専業とする。
●注意ポイント⇒父親の決断が必要になるため、なるべく早く対策を終えてしまわないと進まなくなるので、要注意。
賃貸住宅は自宅と同じエリアではなく、賃貸状況がよい立地に持つ方が空室リスクを軽減できる。
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