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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

夫に財産を渡さなくても。遺言書で決めておくだけでも節税になる!

夫に財産を渡さなくても。遺言書で決めておくだけでも節税になる!

 

◆夫婦で会社運営

Fさん(女性)は70代。同年代の夫とともに二人の子どもの子育てをしながら衣料品関係の会社を運営してきました。幸い、会社は順調に成長し、海外にも工場を持ち、国内にも主要都市に支店を作るなどしてきて、社員数も100名を超える規模となりました。
夫婦ともに子どもに継いでもらいたい希望があり、長男と長女は親の意思を汲んで入社して支えてくれています。
時代の動きも激しいため、子ども世代に任せようとなり、数年かけて自社株を贈与しながら事業継承の準備をし、夫婦ともに65歳を機にリタイアしました。
長男が社長、長女が専務という役割で協力しながら引き継いでくれています。

 

◆退職金が出た

Fさん夫婦が会社運営をしてきたのは創業から30年ほど。当初は大変な時期もありましたが、徐々に安定してきましたので、役員報酬を受け取りながら、退職金となる生命保険の積み立てもしてこられました。退職時には夫に1億円、Fさんには8000万円の退職金が払われましたが、10年ほども前から積み立てをしてきていますので、保険の解約金を充当することで、会社には大きな負担がなく、支払うことができたといいます。

 

◆これからの対策

Fさんからは5年前に相続プランの依頼があり、ご提案しています。ご夫婦ともに金融資産が貯まっていることに加え、退職金が加算されましたので、あらためてプランの見直しが必要です。節税対策をしながら、遺言書も作成して頂くことをお勧めしていました。
ところが、夫と足並みがそろいません。Fさんはきちんと対策をして自分も子どもたちも不安がないようにしておきたいのですが、夫は「自分の財産は自分で好きなように使う、 自分が亡くなったらみんなでなんとかしてもらいたい」と。
Fさんや子どもたちのアドバイスには耳を傾けようとしません。

 

◆自分だけでも

Fさんはなんども夫に話をしてきましたが、夫の態度が変わらないため、いよいよあきらめて自分だけもできることをしておこうと相談に来られたのです。
ご自宅は夫婦で共有しています。子どもたちはそれぞれ自宅を購入していて将来の同居もないと思われるので、夫婦ともに亡くなった時には二人で売って分けてよいと考えているといいます。
退職金が加算されて増えた金融資産で保険に加入し、孫たちへの教育資金贈与をするなどしてある程度の対策ができています。それでも相続税の申告が必要な財産です。一番困ることは夫がいろいろなことに協力的でないということです。

 

◆夫に財産を渡さなくても

夫が先か、Fさんが先か、なんともわからないのですが、夫にはFさん以上の財産があります。仮に夫よりFさんが先に亡くなったとすると夫には半分の権利があります。しかし、Fさん以上に財産を持つ夫の財産を増やしてしまうのは得策ではありません。次の相続税が増えるからなのです。
そこで、Fさんの財産は二人の子どもが等分に相続し、夫に渡すものはないという公正証書遺言を作成することをお勧めしました。Fさんも、2人の子どもたちもそれがよいとなり、公正証書遺言が出来上がりました。
こうした方針を決めることによって、夫を責めるのではなく、自分の気持ちが落ち着いたとFさんは安堵されたのでした。

 

◆相続実務士のアドバイス

●できる対策
公正証書遺言を作成して財産の渡し方を決めておく
夫に財産を渡さないことで次の相続税が節税できる

         ●注意ポイント
夫婦で一緒に対策をすることが望ましいのですが、意見が合わないことも多々あることでしょう。それでもFさんのようにご自分だけでも対策をしておくことで節税となり、子どもたちも安心です。夫には遺留分請求の権利が残りますが、請求されなければ遺言書通りとなります。

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