事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
遺贈でマンションは愛人のものに。せめて、いくらか払ってもらう。
■夫とは20年間、別居して
Yさんは60代の女性。1人で相談に来られました。
結婚して40年になり、息子と二人の娘、3人の子どもに恵まれましたが、
20年ほど前から、夫は家の戻らず、別の女性と生活をしていました。
子どもが成人したあとは、夫は生活費を入れてくれることもなく、また、
Yさんは、夫がどんな生活をしているのかも、知らずにいました。
そうして20年、夫は自宅に戻ることなく、そのまま、昨年、亡くなりました。
■遺贈でマンションが愛人のものに
亡くなってから、夫は同居してきた女性からお金を借りていることがわかり、
その女性が夫名義のマンションに死因贈与の仮登記をつけていることも判明しました。
真実かどうかは、亡夫から聞くこともありませんでしたが、いまとなっては
登記されている事実により、判断するしかありません。
結果、夫が亡くなってからほどなく、マンションの名義は遺贈により、
同居してきた女性の名義に変えられていました。
そうした事実は遺贈を受けた女性の息子から、妻のYさんのもとに連絡が
あり、すでに返済が終わっている金融機関の抵当権をはずしてもらいたいと連絡がありました。
これは、亡夫が手続きを怠っていたため、相続人であるYさんと子どもが
手続きをしなければなりません。
■遺言書がないので、遺留分はない
亡夫の財産は他にはまとまったものはなさそうで、女性の名義になった
マンションが唯一の財産と言えるものでしたが、貸付金の担保として
死因贈与をされ、Yさんや子どもたちが相続するものはない結果になりました。
死因贈与契約がなければ、相続人の財産だったのですが、生前の契約により
借入金の返済が優先されます。また、遺言書もなく、正味財産もないため、
慰留分の請求もできないという結果になります。
■協力金を払ってもらう
それではあまりに理不尽なので、Yさんは担保を消す手続きに協力するかわりに、
マンション相場の10分の1程度の現金を、協力金として
女性から払ってもらう約束を取り付けにました。
借入がないにしても、抵当権がつたいままだと、売却などには支障があり、
協力金を払っても抹消しておくことが女性側のメリットになります。
相続コーディネート実務士から
◇協力金の合意書を作成しておく
金銭のやり取りがありますので、
その証拠となるような合意書を作成することをアドバイスしました。
夢相続の業務提携先、弁護士、司法書士のチェックも入れて、書類はできあがりました。