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障がいのある弟、将来の不安をなくすための遺言書はどう書く?

障がいのある弟、将来の不安をなくすための遺言書はどう書く?

 

◆母親と弟が実家暮らし

Tさん(50代・男性)から80代の母親について、相談がありました。
父親が5年前に亡くなり、母親と50代の独身の弟が二人暮らしをしていましたが、弟がグループホームに入り、母親が一人暮らしになりました。
Tさんと妹(40代)は結婚して家を離れましたが、弟には障がいがあり、ずっと実家で生活をしてきたのです。

父親が亡くなった後、母親が弟の面倒を見てきていましたが、80歳を過ぎて買い物や食事の用意など、やはり負担になっているとTさんと妹(40代)が相談し、母親を説得して、弟はグループホームに入り、家を離れた生活に慣れるようにと環境を変えたのです。

 

◆母親は物忘れが酷くなってきた

実家の近くに住み、毎週、母親の様子を見に行っている妹から母親の様子がおかしいとTさんに連絡がありました。物忘れが急に進んだようで、話が嚙み合わなくなってきたといいます。
弟の面倒を見てきた役割がなくなり、気持ちが緩んだのかもしれません。
このまま認知症になってしまうと相続の手続きに困るのではと思い、どうすればいいかというのが相談の内容でした。

 

◆父親は遺言書があった

父親は「配偶者に全財産を相続させる」という内容の遺言書を作っていました。財産は自宅と預金3000万円ほど。相続税の申告は不要でした。
母親にも遺言書があったほうがいいとご説明し、公正証書遺言を作成手してもらうことをアドバイスしました。
課題は弟のことです。母親は、財産は3等分にしたいと言いますが、Тさんと妹は、自分たちが弟のサポートをしていくようにするので、弟の分も含めて2等分とするように母親と話をしました。

 

◆付言事項

母親の付言事項に弟の面倒を看るようにとする内容を書くようにアドバイスしました。
その後、母親から届いた付言事項の文言にはこうありました。
「長男・長女は協力して次男のサポートをし、面倒を見るようにお願いします。
次男に渡すべき財産は長男と長女に託しますので、了解し、不安に思うことがなく、且つ一生涯生活に困らないようにしてください。」

こうして母親は公正証書遺言を作ることができました。当社は証人業務を担当しました。Tさんと妹も公証役場まで同行され、無事に遺言書ができたことで母親だけでなく、みな、一安心されました。
母親の認知が進んだとしても母親の意思を汲み取り、兄妹で協力して弟の面倒を看ていくことを確認し合っておられました。

 

 

 

相続実務士のアドバイス

 

●できる対策⇒母親が遺言書を作成、障がい者の次男をサポートするように決めておく。
       長男、長女が等分に財産を相続することで協力する。

●注意ポイント⇒次男には後見人をつけていないため、現在は家族がサポートをしていくようになるが、
        将来、後見人がついた後に母親が亡くなると、次男の遺留分請求をされるかもしれないため、想定をし用意をしておく。

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