事例

相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

隣に住むのは同居ではない!小規模宅地等の特例が使えない理不尽さ

◆母親が亡くなった

Mさん(60代女性)は3姉妹の長女です。90代の母親が亡くなったと相談に来られました。
父親はすでに亡くなっていて、嫁いで他で生活をしている妹2人がいますので、相続人は3人になります。母親の財産は自宅の土地8000万円、建物100万円で財産の8割にあたります。残る現金は約2000万円でした。

Mさんには夫と2人の息子があり、母親の家の隣に夫名義の家を建てて住んできました。Mさんも結婚当初は実家から離れて夫婦で生活をしていましたが、子供が生まれたときに父親が隣に家を建てたらどうかと言ってくれて、そのようにしたのでした。

 

◆母親がひとり暮らしになった

父親が15年前に亡くなり、母親はひとり暮らしになりましたが、すぐ隣にMさん家族の家があり、行き来できますので、何の不安もない生活だったといいます。
母親が90代になり、いよいよ1人暮らしが大変になったころは、Mさんや夫が泊まり込んで母親の介護をしてきました。そのため、母親はずっと自宅での生活ができていたのです。

 

◆自宅はMさんに

父親が亡くなったときに母親は、父親から自宅を相続しています。
配偶者の特例を生かして相続税がかからないというメリットがありましたので、それを生かしました。

母親は隣に住むMさん夫婦がずっと面倒を看てくれたと感謝していて、公正証書の遺言書を作るといって作成してくれています。自宅はMさんにとし、現金を妹2人で分けるようにという内容です。
Mさんと妹たちは仲もよく、普段からMさん夫婦がよく面倒を看てくれていることがわかっていますので、遺言書のとおりで不服はないと言っています。

 

◆泊まり込んで介護は同居になる?

問題は相続税です。同居していれば小規模宅地等の特例が使えるので自宅土地は20%、1600万円の評価にでき、他の財産と合わせて3700万円となり、相続税はゼロとなります。
しかし、隣の家に住んでいて、泊まり込んでいるのが同居とみなされるのか?ということがわからないと相談に来られたのでした。

 

◆同居にならず=小規模宅地等の特例は使えない

Mさん夫婦は泊まり込んで介護してきたのは同居だという認識ですが、税務的には同じ建物に住んでいないと同居とはみなされません。しかも隣の建物はMさんの夫名義で、お母さんの建物ではないのです。
こうした場合は、小規模宅地等の特例は適用できず、相続税を支払うことになります。相続税は645万円、全体の8割を相続するMさんは516万円の相続税を払わなければなりません。

 

◆生前であれば方法はあった

小規模宅地等の特例を使うためには、夫の家は子供に贈与してしまい、夫婦でお母さんの家に同居してしまうようにすれば、何ら問題なく、同居として小規模宅地等の特例が使えます。
計画的に節税しておこうとするならば、生前の準備が必要でした。

Mさんご夫婦は泊まり込みで介護しているので同居が認められるとばかり思っていたと残念がっておられましたが、今から事実は変えられません。Mさんの時の対策を、今から取るようにオススメしました。

 

 

ご相談は夢相続へ

自分たちの思い込みで判断して節税のチャンスを逃すことは残念です。
なるべく早いうちに家族で相続対策のプランを立てるようにすれば、節税も可能になり、もめる要素も減らせますので、相続の専門家に相談してみましょう。


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