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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

預金をもらえるはずが相続人は払う気なし。頼りのメモは遺言書にならず!

預金をもらえるはずが相続人は払う気なし。頼りのメモは遺言書にならず!

 

◆知人同士で同居

Aさん(70代・女性)が本を読んで相談したいとお電話がありました。Aさんと同居してきたBさん(70代・女性)が亡くなり、困っているといいます。
Aさんは独身で、仕事をしながらひとりで生活してきましたが、趣味の関係でBさんと知り合って二人暮らしをするようになって20年近いといいます。
Bさんは夫と離婚し、一人娘はいるのですがすでに独立していて、お互いに一人暮らしということから、一緒に住みましょうとなったようです。

 

◆介護

Bさんはここ数年体調がすぐれず、検査すると手術が必要な病気だとわかりました。入退院を繰り返しながら、その間は、ずっとAさんが献身的に介護をしてきました。
Bさんの娘はかなり離れた地域に嫁ぎましたので、ほとんど来ることもなく、介護はAさんが一人でしてきたと言います。
そうしたこともあり、Bさんは実の娘よりも一緒に生活してきたAさんに頼り、感謝してきたといいます。

 

◆預金はAさんに

Bさんは亡くなる数か月前に娘を呼び寄せ、Aさんがいる前で、「預金の全額をAさんに差し上げます」と書いたメモを見せたと言います。
ずっと身近なところで支えあってきたAさんにお礼をしたいということです。Bさんの娘は母親の意思であればと了解してくれたのです。
Aさんの預金は1200万円ほどありました。普段の生活は二人の年金を出し合って、家賃や生活費を負担してきましたので、その預金を切り崩さなくてもやってこられたのです。入院や手術などで数年間は支出がかさみましたが、その残りで1200万円でした。

 

◆遺言書にしていなかった

娘が快く賛成してくれたので、Bさんはそのメモでよしと思い、遺言書にはしていませんでした。
その後、Bさんが亡くなり、Aさんはそれまで預かっていた預金通帳をいったん娘に渡したのです。そして、Bさんの意思のとおり、1200万円を渡してもらいたいと娘に言いましたが、娘は「預金は凍結されて下ろせない」などと言って、もう半年もそうした説明です。
困ったAさんは色々と本を読んでみたところ、相続人がひとりなのに預金を下ろせないのはおかしいと気が付いたようで、どうしたらいいかというご相談でした。

 

◆娘は払う気がない

Bさんのメモは日付や印鑑がないため、遺言書の形になっていません。そのため、相続人ではないAさんが、Bさんの財産をもらう術がないのです。
亡くなる前であれば、贈与をしてもらう方法がありましたが、Aさんはこんなことになるとは思わなかったようで、贈与を受けたり、預金を引き出したり、まったくの対抗措置をしていなかったのです。
そうなるとAさんに勝ち目はなく、相続人の娘に相続の権利があります。
例え預金はAさんにというメモがあり、口頭でも聞いていたとしても、「聞いていない」「知らない」「気が変わった」と言えば、それで済んでしまうのです。

 

◆方法はあるか?

なんとも理不尽な話ですが、AさんはBさんの介護や身の回りの世話をしてきたという事実がありますので、弁護士を通じて、Bさんの意思通りに預金を渡してもらうよう、また、介護の貢献があるので考慮してもらうよう、交渉してもらうようにとアドバイスしました。
法律的な要件では対抗できないため、心情的に訴えていくしか方法はありません。
生前のご相談であれば、Bさんに遺言書を作成してもらうことや、生前贈与してもらうなどいくつかの方法があったのにと残念に思うところです。

 

 

相続実務士のアドバイス

 

●できる対策⇒弁護士に依頼して財産を渡してもらうよう交渉する。

●注意ポイント⇒法律的な対抗要件がないため、相続人に突っぱねられる可能性もあります。
        このような場合、生前に対策しておくことが必須だったと言えます。

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