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相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
顧問税理士は頼りになる?肝心なときに失敗され、数百万円の損失!延滞税?無申告加算税?
■母親の相続税を銀行借り入れして払った
Тさん(60代女性)は15年前に母親が亡くなった時の相続税を銀行融資を受けて支払いました。約一億円です。Тさんの実家はもと農家で土地持ちの資産家です。父親は相続税隊様のため、所有地にマンションや貸店舗を建てて不動産賃貸業をしてきました。所有地はすべて市街化の中にあり、地目こそ農地や山林となっていますが、宅地並み課税となる場所です。
Тさんの実家は弟が同居して継いでいますが、実家のすぐ近くに嫁いだことから、仕事で忙しい弟よりも専業主婦のТさんが実家の賃貸業を手伝ってきました。両親の介護もТさんが引き受けてきたこともあり、父親の財産は、母親とТさんと弟が法定割合で相続し、その後の母親の相続のときもТさんと弟で等分に分けました。
■土地は残さないといけない
Тさんは農家の娘として土地は維持していくものだという意識が強く、父親の相続でも、母親の相続でも、土地を売却して納税するという発想にはなりませんでした。
母親が亡くなった時の相続税は約2億円で、弟と1億円ずつ払うことになりましたが、相続財産の中には預金は多くはありません。Тさんが選択したのは、農地(畑3か所)の納税猶予2000万円を適用することでした。農地の納税猶予は大蔵省の担保となりますが、Тさんが亡くなるまでずっと農業を継続すれば、猶予してきた相続税は免除されるというものです。そうすることで残る納税は8000万円となり、納税する相続税は全額、銀行借り入れにて調達しました。
■15年間維持してきたが、土地の維持も、返済も大変に
相続税のための銀行借り入れですが、返済原資は母親から相続した賃貸マンションや貸店舗の家賃収入を充てました。
Тさんは相続してからそれから15年間、相続した土地を手放すことなく、ずっと維持して来られましたが、賃貸収入にも波があり、大変だったといいます。しかも、Тさん自身は農家ではなく、3か所の畑は自家消費程度を野菜を作ってはいますが、売っているわけではないので、農業収入は赤字です。固定資産税は農地並み課税で優遇されているため、負担にはなりませんが、農地として維持するにはある程度は耕作しなければなりません。
50代で相続したため、それほど苦ではないと農地として維持することを選択しましたが、15年経った今では、体力的に耕作するのが大変になってきました。仕事を定年でリタイヤした夫が一緒に作業をしてくれるとはいえ、やはり同年代。これから先が思いやられます。Тさんには3人の娘がいますが、皆、嫁いで家を離れていますし、そもそも農業をさせてこなかったため、手伝いも期待できない状況です。
■土地で納税分を返済
Тさんは自分の相続のことも考えて、いままで土地を維持してきたが、子どもたちが苦労しないようにと整理しようと考え始めて、相談に来られました。
Тさんの財産は不動産が主な財産ですが、賃貸事業として稼働しているマンションや貸店舗の他に、畑や山林があり、不動産の半分を占めています。畑も、山林も、市街化区域の中にあり、家が建てられる土地ですが、Тさんはずっと畑や山林で維持をしてこられて、これから先も活用の予定はなさそうです。そうしたことから、畑や山林は売却し、納税猶予の相続税を納税し、銀行の借入を返済することを提案しました。Тさんもこれから先を考えると、多くの土地を維持するのは大変だとなり、3か所の土地を売却することを決断されました。
■3か所とも売却できた
最初に売却したのは2か所の山林で、1300㎡と1800㎡。地目のとおり、現地は雑木林になっています。すぐ隣地には住宅が建っている立地ですが、Тさんは母親から相続して、ずっとそのまま維持して来られたのでした。
3か所とも大きな土地で、整地して造成して区角割しないと一般の方には売れません。そのため、2か所とも建売業者が購入することになり、2か所で9000万円という価格にて売買契約ができたのでした。Тさんはそのお金で銀行に返済することができました。さらに納税猶予を受けている畑も売却することにし、さきに納税を済ませて、農業委員会の買取あっせんなどの手続きも済ませて、3か所目の畑も売却することができました。
■譲渡税の申告が必要
山林は契約後、3ヶ月で決済をしましたので、年内に契約ごとが完了しました。3つ目の畑については、納税猶予を解除後の契約となりましたが、同じ会社が購入すると予約をしていましたので、翌年の契約、決済となりました。
このようにТさんは3つの土地を売却されましたが、2つは年内で翌年に譲渡税の申告が必要、3つ目は翌年の契約、決済で、その翌年に譲渡税の申告が必要という風に、2年に分けて申告することになると、説明書類を作成し、Тさんには何度も声明の上、書類もお渡ししていました。
Тさんは父親の代からマンションや貸店舗の賃貸事業をされていますので、長年、同じ税理士法人に確定申告や相続税の申告も依頼して来られました。よって、翌年の確認申告も同様に依頼するということでしたので、昨年の確定申告では2か所の山林の譲渡税についても申告、納税されているものと思っていました。
ところが、今年になり、3つ目の畑の譲渡税の申告について確認したところ、昨年の譲渡税の申告、納税はしていないことが判明。税理士法人にも山林を売ったことは話をしていたということですが、再確認してもらっても、譲渡税の申告はされていませんでした。
Тさんは3つが終わってからまとめて申告するものと勘違いをされていたようですが、税理士法人であれば契約書を確認すれば一目瞭然のはず。
■とにかく急いで修正申告を
Тさんによれば、担当する税理士法人の担当は経験も浅く不慣れなようです。税理士法人の代表税理士はいままでもТさんに会おうとせずに、何もアドバイスもしてくれないとТさんは嘆いておられました。
今回も、確定申告を担当する税理士法人がするべきところですが、頼りにできないということで、夢相続の業務提携先の税理士法人に依頼し、すぐに修正申告の書類を作成し、Тさんに昨年分の譲渡税の納税を済ませてもらいました。昨年の3月15日が申告期限ですので、それを過ぎている場合は、本税の20%の過少申告税が加算され、納税するまでの間の延滞利息も付きます。よって1日でも早く納税する必要がありました。
Тさんが納めないといけない譲渡税は1200万円程で、過少申告税だけでも200万円を超える計算になり、住民税も400万円以上払わなくてはなりません。さらに延滞税、延滞利息が加算されると大きな金額になるのです。
■毎年の顧問税理士は頼りになる? 頼りにならない?
このТさんの事例を教訓にするならば、毎年、依頼している顧問税理士が本当に頼りになるのかは、第三者の判断などから冷静にしたほうがいいと言えます。確定申告であれば、毎年のことで大きなリスクはないかもしれませんが、肝心なときに頼りにできない、失敗されるというのでは不安ばかりだと言えるでしょう。
毎年依頼しているのであれば、長期的なアドバイスや賃貸事業の経営改善も提案してもらいといところ。Тさんにはこの機に頼りになる税理士法人に切り替えることをお勧めして、損失の補填をしてもらいたいと思うところです。
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